今週のマイ・コレ、まず今日はマーラーの交響曲第1番「巨人」です。指揮はサー・ゲオルグ・ショルティ、オケはシカゴ交響楽団です。
5番で失敗だったかな、と思っていましたが、実際にはマーラーの交響曲をもっと聴きたいという思いは持っていました。当時大学2年生。ですが、サークルのほうに精力を注いでいたため、マーラーはおろか、クラシックCDを買うことすら後手に回っていました。
そのときに、では彼の一番最初の交響曲って、どうなのかという思いが芽生えていました。特に当時はマーラーの交響曲で一番人気はこの「巨人」。そりゃあそうでしょう。日本ではようやくブームが来た時代。評論家位しかまともに聴いていない時代です。この曲のようなメロディラインがはっきりしているものが人気になるのは当然だと思います。
え、読売ジャイアンツと同じ名前だからだったんじゃないの?っていう、ア・ナ・タ。そういうことではないんですね〜。そういう人のほうが珍しかったですね(実際、そういう人はいましたけどね)。
そこで、当時も人気の高かった、ショルティ/シカゴ響で買ったというわけなのです。このCDは名演のひとつにあげられるもので、それは私にとってもマーラーのイメージが変わるきっかけになりました。
こんなにもわかりやすい音楽だったのか・・・・・と。
後期の崩壊寸前の美しさではなく、むしろ健康的な美しさのほうが多く支配しているため、わかりやすいのだと思います。私はこの曲に出会っていなければ、果たして図書館で借りて全曲そろえようとしたかどうか、わかりません。やはり当時、何と言ってもすきなのは古典派の音楽でしたから。
ショルティ/シカゴ響の演奏も、きびきびとしていて、また弦の動きがはっきりしているので、その点も良かったと思います。それが曲の細部を浮き立たせる結果となっていて、今聴きましても発見の連続です。今ならば、この曲は楽譜を見ながら聴きたいですね〜。
そのため、図書館で借りるときにもショルティならば迷わなかったわけなのです。この演奏を聴いていたことが非常に大きかったのです。
このCD、実はそんな名演なのに廉価盤です。ロンドンベスト100のうちの一枚です。当時やはりサークルにお金をかけていましたから、クラシックCDはなるべく廉価盤を買うようにしていました。このCDは確かかなり前から目につけていたものだったのですが、買う決断をしたのはその値段だったのは否めません。当時2297円。3000円するのが当たり前だった時代に、この値段はありがたかったです。
当時はバブル絶頂の時代ではありましたが、かといって学生がみなお金持ちであるわけでもありません。私もアルバイトなどで稼いでもそのお金はほとんどサークルへと消えていましたから、クラシックにかけるお金などありません。ですから、こういう廉価盤が当時どんどん発売されていたのは非常に助かりました。
まだナクソスなどない時代です。自分の足でCD店へ行き、物色しないといいものは見つからなかった時代なのです。ですから、私は今でも良質の情報は現地にこそある、という意識が強くあります。
それは後年、私の現場主義・現地主義の考え方に大きな影響をおよぼしてゆきます。このCDもそんな姿勢で見出したものなのです。
聴いているCD
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第1番ニ長調「巨人」
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
シカゴ交響楽団
(ロンドン F00L-23025)