かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

想い:図書館はもっとCDを貸し出そう

毎週水曜日と木曜日に神奈川県立図書館所蔵のCDをご紹介していますが、皆さん不思議に思いませんか?なぜ、あなたは市の図書館に借りに行かないのか、と。

私が住む横浜市の中央図書館にも、実は県立図書館並みのライブラリがあります。ところが、こちらは閉架式で、館内貸し出しのみです。さらに、私の出身大学の図書館は、CDは貸し出していたように思いますが、全てではなかったように記憶しています。確か、貸し出せるものと貸し出し不可のものとあったように思います。ですから、長らく私はCDは貸し出さないもの、というイメージを持っていました。

ですから、県立図書館が貸し出すと知ったときには、驚きと感激で一杯でした。

貸し出しは、いろんな困難が伴うのはわかります。私も大学時代、学芸員課程を履修していたことから司書概説の講義を受けていますから。でも、です。

クラシックのみならず、CDはいろんな記録にわたります。例えば、私が通っている神奈川県立図書館の場合、視聴覚資料室には貸し出し可能CDとして落語がありますし、さらには民謡までそろっています。そういった文化資料(あるいは史料)を貸し出すということは、本と同じくらい文化を受け継ぐためには必要なことであると思います。

落語はクラシックと同じように実は起承転結の形式があって、それをなるべく自然な形で伝えるのが噺家の務めだとよく言われます。そんな資料・史料が図書館ならごろごろ転がっています。確かに、大きいCD店、例えば銀座の山野楽器本店であれば落語のCDも売っていますが、地方ではなかなか手に入りにくいとききます。

それならば、図書館で貸し出すというのは、とても大事な役割になってくるのではないかという気がします。

このように、CDを貸し出すことで図書館がクラシックのために果たせる役割が充分あるのです(上記ではクラシック以外の落語を例に取りましたが)。それにもうひとつ、これはまだ私もきいたことがありませんが、楽譜の貸し出しです(さすがの神奈川県立図書館もこれは閉架、つまり館内閲覧のみです)。これも是非やって欲しいと思います。アマチュアオケはどこも財政が厳しいのです。地方のプロオケもです。特に大変なのがライブラリ、楽譜の管理です。

それを図書館が肩代わりするという発想も大事ではないかと思います。オケの代わりに図書館で管理し、それを貸し出す、あるいは閉架式でコピーを許す。そういったやり方もできます。今のところ、コピー可なのは国立国会図書館東京文化会館音楽資料室だけだと思います(神奈川県立図書館は、出来るかもしれませんが少なくとも視聴覚資料室にはコピー機がありません)。これでは、お話しになりません。地方の人はそのために東京へ出なければいけません。

それならば、私は電子化してPDFで公開するというやり方もあると思います。実際、海外ではすでにそういったプロジェクトが進んでおり、私のブログでも何度か「サイトに楽譜があるんですが」という記述をしていると思います。このあたり、まだまだ日本は遅れています。

勿論、それには著作権の問題があることくらい、承知しております。しかし、それを何とかクリアする方法を見つけるのが、智慧だと思うのです。例えば、著作権切れのものを公開するという方法もあります。データとしては古いかもしれませんが、演奏経験がある方ならお分かりだと思いますが、ある版にのっとっていても、実は指揮者が楽譜の指示を変更することはかなりあります。もともと、モーツァルトの時代には楽譜に強弱記号などありません。ですから、今でも強弱記号で混乱がある場合があります。

しかし、演奏家であれば和声学等の知識から、それを一旦取り払うことは可能です。ですから、多少古くても演奏できることがあります。そういう工夫はいくらでもできます。アマチュアですと、その知識がきちんとある指揮者に音楽監督になっていただく、という方法もあるかと思います(さすがに、私もそうですが和声学をきちんとわかっている人というのはアマチュアではいません)。

図書館が保有するのは必ずしも本だけではない時代に、図書館と音楽とのコラボレーションというのはクラシックの未来を切り開くものと、私は考えます。そのためにも、まずはCDの貸し出しからはじめて欲しいのです。

CDの貸し出しに関しては、既に東京23区内でも一部で始まっています。是非、それが全国へと広がって欲しいものです。