かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:ラフ 交響曲第1番ニ長調作品96「祖国に寄す」

今月のお買い物、三枚目はヨアヒム・ラフの交響曲第1番です。指揮はサミュエル・フリードマン、演奏はライン・フィルハーモニー管弦楽団です。

いわゆる、ナクソスのラフシリーズの一枚なのですが、私にとっては久しぶりのラフとなりました。実は、今でもラフの交響曲を集めております。ただ、そのペースは極端に遅くなりましたが・・・・・

まあ、これはいつものことです。ブラームスもそうでしたし、ドヴォルザークも、チャイコフスキーも、モーツァルトもそうでした。いつかはそろうものです。そのときがまだ来ていないだけ。

実際、今はだんだんショスタコーヴィッチの交響曲に興味は向いていますし。まあ、ゆっくりになるでしょう。

そんな中で見つけたのがこのCDです。これもナクソスでなんかないかなとぼーっと眺めていて見つけたものです。まあ、念願というものはそんな形でかなうものです。

これはナクソスのうちのレーベル「マルコポーロ」で以前出ていた音源で、世界初録音です。全集は他レーベルですでに出ていますが(実は、私はそちらでそろえようと思っていた矢先でした)、それを待たずに買ってしまいました。

1988年。22年前の録音です。日本ではマーラーブームの時代に、ラフという作曲家に注目し、その録音を出す、ナクソスという会社はたいしたものです。「ノブレス・オブリッジ(高貴なる者の義務)」を地で行く、すばらしい行動です。

しかもこの曲、標題に「祖国に寄す」(ウィキペディアでは「我が祖国」)という名がついています。ラフの出身はスイス。この時期のスイスは既に独立を果たしていたはずですが・・・・・

ナクソスの英語解説をかいつまんで読んでみますと、どうやら彼はワグネリアンだったようで、それに触発された形で祖国スイスを題材に書いた交響曲がこの曲のようです。私もワーグナーは好きなので、この解説はちょっと時間のあるときに訳してみたいと思っています。ウィキペディアではラフの人生が紹介されているだけなので(それだけでも、とても役に立つのですが)。

この曲を聴く限り、私はラフという作曲家がそれほどくだらないとは思えません。確かに、これといった個性はないかもしれません。しかし、それ故に癖がないのです。これは古典派のハイドンにも通じる聴きやすさではないでしょうか。

ロマン派ではさまざまな作曲家が交響曲を書き、名曲がたくさん生まれましたが、確かにラフの作品は印象が薄いものが多いように思われます。ただ、それゆえに聴きやすさはダントツであるように思います。この人の作品をもっと早くに聴いていれば、私は恐らくブルックナーへたどり着くのはもっと早かったように思うのです。

私は不勉強でラフとスメタナとの関係を知りませんが、この曲に触発されて、スメタナが「我が祖国」を書いた可能性もあるのではと思っています。全体的に標題音楽的なメロディが支配し、高揚感というものは余りありません。それがもしかするとラフという作曲家の評価を下げているのかもしれませんが、しかしそういう曲の方が実は祖国愛というものの伝播力は強かったりするのです。

さりげない曲ほど強い・・・・・例えば、清志郎の「ブーアの森」のように。ラフの音楽からは、そんな彼の気持ちが伝わってきます。



聴いているCD
ヨアヒム・ラフ作曲
交響曲第1番ニ長調作品96「祖国に寄す」
サミュエル・フリードマン指揮
ライン・フィルハーモニー管弦楽団
(ナクソス 8.555411)