かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ33

土曜日ランダムの「今月のお買い物」コーナー、今回も毎度ですがBCJのバッハ カンタータ全曲演奏シリーズの第33集です。

収録曲は以下の3曲です。

カンタータ第41番「イエスよ、いま賛美を受けたまえ」BWV41
カンタータ第92番「われは神の御胸の思いに」BWV92
カンタータ第130番「主なる神よ、われらこぞりて汝を頌(ほ)め」BWV130

第41番と第92番は1725年の新年用、第130番は前年のミカエルの祝日用と、実は時期が全く違うものが入っています。しかも、すでにシリーズは1725年のものに入っているのに、前年1724年のものが入るという内容です。

これは恐らく、CDの収録時間の関係でしょう。BCJは作曲年順にこだわって収録をしてきています。それなのに、前年のものが入るということは、時間の関係と考えるほうが妥当でしょう。

実際、バッハ事典と今まで録音されたものを突合してみると、実はいくつか1724年の作品で抜けているものがあります。それを1725年の作品と一緒にして収録する方針なのだと思います。

とにかく、この時期はバッハのカンタータの多作期にあたります。つまりバッハが一番忙しい時期です。考えてみれば全部が作曲年順でCDに収まるはずもなく、そのため1724年のもので1725年のものと一緒にする作品も出てきて当然でしょう。実際の作曲工程では、構想段階はまだこの時期に初演されたものは1724年の作曲と言っていいわけですから。

これが、もしUSBメモリだったら、このようなことはおきないでしょう。作曲年順できちんと収まるはずです。こういう点からも、近い未来にはクラシックは全集のようなものはUSBメモリになる可能性もあるのでは?と私は思っているわけなのです。USBメモリならば、別にmp3にして圧縮する必要がないくらいデータが入りますから。

すでに、実はこのシリーズは途中までがボックスで発売されていまして、手っ取り早く集めたいという方はそちらをお奨めします。やはり、一枚一枚買ってゆくのは場所をとるのです・・・・・

そういう意味でも、私は特にバッハのカンタータUSBメモリでの販売も視野に入れて欲しいと思っています。それもクラシックファンの裾野を広げる方策の一つです。

さて、まず2曲は新年、つまり日本で言えばお正月に演奏される曲だけあって、祝祭感と説教的な厳しい音楽が同居しています。最後の第130番は堂々としていて、幸福感が増大してきます。

いずれの曲も今回もキリスト教のコアな部分に触れる内容です。特に第130番はミカエルという、最後の審判の時にキリスト者を勝利に導くと言われる戦士を描いていて、キリスト教がもつ厳しくかつ激しい一面を私たちに知らしめています。

さらにいずれの曲にも、耐え忍ぶこと、それを通り越すことによる喜びという、第九にも通じる精神が貫かれています。私も他宗教の人間ですが、この内容には考えさせられることだらけです。

西洋音楽の伝統から言えば、実はバッハは決して主流とはいえません。主流はまずイタリアです。ただ、バッハをきっかけにしてドイツは音楽的に勃興していったという点はあります。それが加速するのがモーツァルトの時代で、意外とモーツァルトがドイツ語とそのリズムにこだわった作曲家であるということは知られていません。しかし、その基礎を作ったのは間違いなくバッハです。

第九好きの私にとっても、このシリーズは本当に勉強になることだらけです。聴けば聴くほど、もっと深いものがあるのでは?と思わずにはいられません。

このCD、実は輸入盤です。最近国内盤が少ないですね。最新作も果たして国内盤があるかどうか・・・・・買い求めたときには最新作は輸入盤だったとおもいます。

最近、バッハも有名作品以外は輸入盤であることが多いので、バッハをお聴きになる場合はできれば東京書籍の「バッハ事典」をお買い求めになるほうがよろしいかと思います。そのほうが、理解しやすい部分がたくさんあります。ドイツ語がわかって、さらにキリスト教徒なのであれば、特にお勧めはしませんが・・・・・

ごく普通の日本人が聴く場合、やはり事典がどうしても必要になるのでは?と思います。いや、プロならさらに当然必要でしょう。管弦楽作品なら和声学から切れますが、カンタータはさらにキリスト教、特にプロテスタントの考え方が反映されていますので、その点への理解は絶対に必要ですから。特に、キリスト者以外の批評家、評論家といわれる人たちは、必携でしょう。



聴いているCD:
バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ33
カンタータ第41番「イエスよ、いま賛美を受けたまえ」BWV41
カンタータ第92番「われは神の御胸の思いに」BWV92
カンタータ第130番「主なる神よ、われらこぞりて汝を頌(ほ)め」BWV130
野々下由香里(ソプラノ)
ロビン・ブレイズカウンターテナー
ヤン・コボウ(テノール
ドミニク・ヴェルナー(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(BIS SACD-1541)