金曜日の「友人提供音源」、今回はベートーヴェンの交響曲ゴールデンコンビ、第5番と第6番を取上げます。
指揮は第5番がチョン・ミュンフン、第6番がカール・ベーム、オケは第5番がローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、第6番がウィーン・フィルです。
実は、私はこれをいただいたときにまだ第6番がすごい演奏だとは思いもしませんでした。こんなものを「いただいて」いいのかと思ったのは、聴いた後です。
実は、6番はあの伝説のライブ、1977年3月2日、東京NHKホールの演奏だったのです!
多少音響の良くないNHKホールで、これほどまで芳醇な「田園」が聴ける・・・・・これだから、クラシックはたまりません。
確かに、私ももっと音響のいいホールが好みです。恐らく、NHKホールと例えばサントリーホールとどちらの演奏を選ぶかといわれれば、ホールだけで判断すればやはりサントリーになります。
しかし、問題はそこで演奏するオケと、指揮者もあるなあと考えさせられた一枚です。
カップリングのチョンと聖チェチーリアの「運命」も、アインザッツがそろっていない点を抜かせばとてもすばらしい、熱のこもった演奏です。しかし、やはりそのアインザッツがそろっていない点が私としてはかなりマイナスです。そして、そのホールはもっと音響のいい同じ渋谷のオーチャード・ホールです。
これを聴きますと、本当にホールは楽器であると感じます。通常、それは音響のいいホールを表現する言い方ですが、私はNHKホールであっても、あえてそういいたいとおもいます。それは、ウィーン・フィルがホールは楽器であるということを知り尽くしていると思うからです。
そう考えて差し支えないのは、全体的に多少余韻が残るように鳴らしているその演奏法です。そしてそれを最大限生かすためにテンポはゆっくり目にし、アインザッツを意識して徹底的にアンサンブルをあわすことだけ考え抜かれた演奏です。このあたりは演奏の技術の高さは及ばなくても、アマチュアオーケストラがどんどん盗める部分ではなかろうかと思います。
そういう意味では、残念ながら聖チェチーリアの方はあまり参考にはなりません。ただ、音響のいいホールだと多少の失敗は帳消しになる、という点は参考にできるのかなと思います。全体的は全くだめではなく、心に熱いものが迫ってきます。ただ、私はやはりNHKホールでのスクロヴァチェフスキの運命を聴いてしまったからには、やはりだめだしをしてしまいます。
まあ、音楽院、つまりこれも一つの学生オケなんですね。それを考えますととてもすばらしい演奏です。ですので、運命に関してはアマチュアであってもあまりちぢこまずに思い切って演奏することの大切さが学べるかと思います。
ウィーン・フィルの本当のすばらしさ、つまり熟練した「音を出すことに長けたプロ集団」という点を私に気づかせてくれた一枚です。これはCDでも出ているのにも関わらず、FM音源からCD-Rにしてくださった友人に、感謝でいっぱいです。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
カール・ベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(田園)
チョン・ミュンフン指揮/ローマ・聖チェチーリア音楽院管弦楽団(運命)