かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番・第2番

今日は水曜日。神奈川県立図書館の所蔵CDのご紹介です。今回からしばらく、ベートーヴェンの弦四を取上げます。演奏は全てアルバン・ベルク四重奏団で、いわゆる名盤の誉れ高い旧盤になります。

そう、実はベートーヴェンの弦四の全曲を取上げたとき、あるいはスメタナ四重奏団の演奏を取上げたとき、一緒に取上げたアルバン・ベルクの演奏というのがこれなのです。

このCDを図書館で見つけたとき、私は興奮を抑えることができませんでした。名盤の誉れ高い旧盤。当時、私はまずスメタナで全てそろえた後買うことにしていましたが、何と、まだスメタナではラズモフスキーしかもっていなかったときにこのCDと出会ってしまいました。

体の震えが止まらないほど興奮していました。この名盤が図書館にあるなんて・・・・・

もちろん、OPACで調べていけば済むことでしたが、当時はまだ試しで使っていた時でしたから、調べることなく図書館へ行っていました。まるで、店頭でCDを買うかのごとく。

当時、体調不良で家にいることのほうが多かったので、ましてや都心へ出かけるなんてほとんどしていませんでした。ですから、当然銀座のCD店などいけるはずもなく・・・・・

当然、地元のCD店でアルバン・ベルクを探すことになるわけですが、これがあったと思ったら買われていて・・・・・

スメタナのほうが在庫がありました。実は、スメタナから集め始めたのはそういう経緯があります。しかし、それでもアルバン・ベルクを決してあきらめたわけではなかったのです。

それが、目の前にある・・・・・聴くことができる。借りてリッピングすれば、音源だけは手元に残る・・・・・・

基本的に、音楽文化を育てるためには私はCDを購入する派ですが、しかしお金がないのも事実。その狭間で20分くらい棚を前にして悩みました。そして、決断しました。

借りて、ベートーヴェンの弦四を全てそろえよう。そして、他の名曲といわれているものも、基本的にまず図書館にあるもので済ませよう、そう路線変更をしました。

その分、例えばコンサートへ行くとか、他のCD購入へまわすとか、そういうようにお金を使おう。そう決めました。その決断と路線変更を私にさせたのが、このCDだったのです。

それだけ、既にスメタナで弦四を聴いていた私にとっては、このCDは大きい存在でした。

そして、ベートーヴェンの弦四の初期作品にこの演奏で初めて触れることになりました。その演奏はすでに述べたとおりです。適度な緊張感と、アインザッツとアンサンブルのすばらしさ。それを支える技術的水準の高さ。どれをとってもすばらしいです。

結局、私は携帯に入れていたスメタナの演奏を削除し、アルバン・ベルクへ入れ替えてしまうほどのめりこんでゆきます。そのときようやく、私はmusiker氏が言った意味の一端を知ることになります。交響曲にはない、別なベートーヴェンがそこにあるのだ、という言葉の意味を・・・・・

この演奏はWAVファイルにしてあるのですが、それを聴きますと第2番で意外なことがわかります。楽譜を見れば恐らく一目瞭然でしょうが、他のパートが終わらないうちに他のパートが演奏を始めているのです。それが第1楽章に出てきます。

これには正直驚きました。一瞬、リッピングミスかと思いましたが、リッピングミスでそんなことは起こりません。当然、本来の演奏です。作品番号18です。弦四だけでなく、全体の中でも初期の作品でそんな「びっくり箱」があるなんて!

ベートーヴェンは、専門家の間ではいろんな「仕掛け」があることで有名ですが、これほど素人目にも明確にわかるものはありませんでした。それも、私はやはりアルバン・ベルクの演奏が高いレヴェルであるがゆえ、だと思っています。弦の運びがはっきりとわかる演奏もそうありませんが、アルバン・ベルクの演奏の特徴としてそれはあげていいと思いますし、それがゆえに理解できた第2番の「びっくり箱」だと思っています。

今でももっとのめりこんでゆきそうです。


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
弦楽四重奏曲第1番ヘ長調作品18-1
弦楽四重奏曲第2番ト長調作品18-2
アルバン・ベルク四重奏団
(元CD:EMI TOCE-5995)