水曜日と木曜日は神奈川県立図書館所蔵のCDのご案内です。今回は、ハイドン・セットの2回目になります。弦楽四重奏曲第16番と第17番「狩」です。
このころから、私は管弦楽曲よりも室内楽曲へとのめりこんでゆくことになるのですが、はっきりとそのきっかけを作ってくれた一枚になります。
このときに借りることを考えていた作曲家は、モーツァルト、ドヴォルザーク、ハイドンで、いずれも室内楽でした。その中で、モーツァルトを選んだのは、やはりベートーヴェンの弦四を聴いていたことが大きかったです。
まだこのときはそれほど室内楽へとのめりこむほどではなかったのです。むしろ当時はハイドンの交響曲や、珍しい作曲家を借りることが主眼で通っていましたから。それが、この演奏を聴いて大きく方向転換することになります。
まず、室内楽への傾倒。もちろん、管弦楽から全く離れたわけではなく、実際このあとマーラーとドヴォルザークの交響曲を借りまくるのですが、それでもやはりもっと室内楽が聴きたい!という気持ちになってゆきました。
そして、珍曲ではなく「名曲」を借りる方向への転換です。今でもそうですが、それほどお金がない状況でいろんな曲を聴くためには、やはり図書館を有効活用する方向にしたのです。実際、図書館には珍曲もありますが、それを凌駕するほどの有名曲がたくさんあるのです。
この「ハイドン・セット」もそんな一枚なのです。
もともと、ハイドン・セット自体私が欲しかったものなのです。モーツァルトの音楽療法がいいと聞いて駅前の山野楽器でヴァイオリン協奏曲を買った時、ふと目に留まったのが実はハイドン・セットだったのです。そのとき、既にベートーヴェンの弦四を集め始めていましたから、是非とも欲しいと思ったのです。
しかし、お金がない・・・・・そんな中、県立図書館が貸し出しをしていることを聞き、行ってみたら見つけたのがこのCD3枚組みだったのです。
ハーゲン弦楽四重奏団のアンサンブルのすばらしさ。スメタナのような古風な感じとアルバン・ベルクの高い技術と集中力を併せ持つようなこのカルテットの演奏は、本当にすばらしいです。
第16番は冒頭、不協和音のような音楽が鳴りますが、それもきちんと表現されています。第17番はもう有名すぎますが、冒頭のまるで狩のホルンが鳴り響くような音形がさらりと、しかもしっかりと表現されている点は、いっぺんにモーツァルトの弦四のファンになるのに充分です。それでいて、その部分はモーツァルトらしい構造上のバランスのよさ!
そう持ち上げたところで、それでもまだハイドンセット以外の曲は全く借りていませんし、また買ってもいません。しかし、いずれは欲しいと思っています。
まだの理由は、来週あたりに述べますが、やはりベートーヴェンの弦四が原因なのです。それと、ハイドン・・・・・・
でも、この二人を聴きますと、やはりモーツァルトの弦四も聴きたくなります。こうしてふたたびハーゲンの演奏を聴きますと、そういう基礎の上に成り立っている演奏であるということを強く意識せざるを得ません。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、やはりこの3人は偉大なり、と感じます。月並みですが・・・・・
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
弦楽四重奏曲第16番変ホ長調K.428
弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458「狩」
ハーゲン弦楽四重奏団
(元CD:Deutsche Grammophon UCCG-1072/1074)