かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト ハイドン・セット�B

今回は、ハイドン・セットの第3回目です。第18番と第19番「不協和音」です。

第18番はベートーヴェン弦楽四重奏曲第6番にも影響をおよぼした曲とも言われ、そのことは確かベートーヴェン弦楽四重奏曲第6番を取上げたときにも言及したと思いますが、どちらが影響したのかわからないくらい、相互の関係を感じてしまう曲です。

ただ、私は第18番の第3楽章がとても好きで、メロディの何となく行進曲風な感じと、通奏低音部がゆったりとしていることでの構造的なバランスのよさがいいなあと思います。ある種、第1楽章と第2楽章はこの第3楽章への導入部なのではないかと思うくらいです。

ただ、私がこの曲を借りたとき、まだベートーヴェンとの関連は知りませんでした。ただ、この第3楽章を聴いたときに、なんとなくモーツァルトではなくベートーヴェンを感じたのは確かです。こんな曲をモーツァルトも書くのだなあと思いました。

考えてみれば、特に弦楽四重奏曲というのはベートーヴェンの時代まで、基本的に大編成ができない人たち向けの曲でした。アマチュア演奏家や、貴族のサロンなどで演奏されるものです。ですから、肩が凝らない曲や、ある意味モーツァルトらしからぬ曲が混じるのは当たり前、といってもいいのだと思います。

それでも、いまハイドンを全部聴いてからふたたびこの曲を聴きますと、だんだんベートーヴェンへと近づいている、そんな気がします。

第19番は「不協和音」という標題がついていますが、第1楽章冒頭部がそんな音楽で始まるからです。でも、ハーゲンの演奏はすばらしくて、どれが不協和音なのだろうかと首を傾げてしまうくらいです。いや、モーツァルトがそのように作曲した、というべきでしょう。当時現代音楽並みの不協和音がやれるわけではないですし(また、モーツァルトが和声学の基礎を作ったことを鑑みますとやるはずがない)。

ただ、当時はこれくらいが大胆だったのでしょうね。スクリャービンなどを聴いてしまった私にとっては、それほど不協和音には聴こえません。それよりも、ベートーヴェンの弦四の方にもっと不協和音的なものがあったように記憶しています。

このハイドン・セットは彼の弦楽四重奏曲の中でも充実している作品群と言われますが、まだまだ全部聴いていないのでそのあたりは私はまだなんとも言えません。それでも、やはりベートーヴェンとの関連が指摘されるほど優れた曲ばかりであると感じます。恐らく、ベートーヴェンが第6番を作曲したとき、モーツァルトの第18番の楽譜を参照していたということは充分にありえることだと思います。

それだけではなく、ベートーヴェンの第4番とモーツァルトの第19番との関連の指摘もあります。以下のサイトで解説が楽譜つきで載っています。

http://www1.harenet.ne.jp/~q9427m/K465comment.htm

これを見ると、どうしても私はベートーヴェンがこのハイドン・セットを傍らにおいて、あの初期の6曲を作曲したような気がしてならないのです。

このサイトで私もはっと気がついたのですが、モーツァルトも比較的その生涯にわたって弦楽四重奏曲を書いていることです。これはベートーヴェンも全く同様であり、むしろその傾向はベートーヴェンの方が強くなっています。これこそ、私はベートーヴェンモーツァルトから強く影響を受けた証拠のような気がしてなりません。

そして、これは次回へ持ち越しますが、同時期に私はついに歴史的名演と出会うこととなり、それまでの方針を完全転換することになるのです。それが、アルバン・ベルクベートーヴェン弦四全集だったのです。もし、このモーツァルトハイドン・セットを手に取っていなかったら、もしかすると棚にあることを気がつかなかったかもしれない・・・・・

ハーゲンの演奏は、そういう思い出がたくさん詰まったものなのです。


聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
弦楽四重奏曲第18番イ長調K.464
弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
ハーゲン弦楽四重奏団
(元CD:Deutsche Grammophon UCCG-1072/1074)