金曜日の「友人提供音源」、今回はFM音源です。1985年にNHKで放送されたフー・ツォンのスタジオライブの録音です。
オール・ショパンプログラムで、ショパンの作品を初期から晩年まで順番に弾いてゆくというもので、これ一枚でショパンの主要作品、そしてショパンの作風の移り変わりを知ることができます。
この音源をいただいた方とは今でも親交があり、もともとネットで知り合ったのですがリアルでも顔見知りのかたです。CDもさることながら特にNHKFMのエアチェック音源を多く保有されている方です。
で、たまにこんなのありますけど、いかがですか?という感じでご提供があり、いただいたものです。
このCDもいただいて8年くらいになるはずですが、しばらく聴いていなかったのですがベートーヴェンのピアノソナタを聴いてからというもの、ピアノ曲にも開眼し、ふたたび引っ張り出しては聴いているという感じです。
だいぶ盤面が痛んでいるのか、パソコンでは聴きにくくなっているようなので、パソコンへリッピングして聴いています。
私はこのCDでショパンの音楽を広範に知ったといっても過言ではありません。当時、合唱団にいたせいもあり、合唱曲か管弦楽かという感じで聴いていましたが、先日も申し上げましたがピアノ曲もずっと心の中では聴きたいと思ってきました。
しかし、当時は仕事に追いまくられ、さらに時代がドラスティックに動き始めた時期で、ピアノ曲のような多少内省的な音楽は合唱だけでいい、と思っていましたので避けていた時期です。そんな時期に、あえてこのCDをいただいたのは、やはりそれがショパンだったからというのが一番大きかったです。
ショパンのピアノ曲って、何か知っていますか?と言われて皆さんはすぐ何と答えますか?ポロネーズはすぐ出てくるかもしれません。あるいは、ノクターンでしょうか。では、マズルカは?バラードは?フーガは?変奏曲は?
恥ずかしながら、私はポロネーズしか当時答えることができなかったのです。しかも、英雄ポロネーズくらいしか・・・・・
一口にショパンのピアノ曲と言っても、そのジャンルは多岐にわたります。ベートーヴェンのピアノソナタはその数と規模において音楽史上燦然と輝きますが、ショパンはピアノソナタが圧倒的に少ない代わりに、いわゆる単楽章の名曲を数多く残しました。ポロネーズはそのうちの一ジャンルに過ぎないのです。
その入り口が、このCDだったのです。
その後、図書館でショパンのピアノ曲全集を借りまして、リッピングして今は全曲持っていますが、そのきっかけを作ってくれた一枚です。
ピアニストのフー・ツォンの演奏はとても端正です。有名曲、例えば祖国愛にあふれた英雄ポロネーズなどはありませんが、なくても充分ショパンの魅力を伝えています。物悲しい旋律もあり、また楽しい旋律もあるショパン。決してショパンの音楽が暗いものだけではないということを教えてくれます。
この音源を下さった方に出会わなければ、恐らく私は今でも管弦楽だけ聴いていたかもしれません。ピアノ曲の魅力を教えてくれた一枚です。
聴いているCD(音源)
フー・ツォン NHK505スタジオ・ライブ
(FM音源をCD-Rへ起こしたもの)