県立図書館所蔵CDのコーナーは、前回からハイドンの弦楽四重奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第2回目です。エオリアン弦楽四重奏団の演奏による全集の2枚目となります。
エオリアンですと録音は古いのですが、かといって最近のでは弦楽四重奏曲ではあまり全集がありませんし、とにかく図書館にはこれくらいしかなかったのです。お金をかけないという方針のもとでは仕方なかったとはいえ、実際に発売されているものを探すのも苦労するくらい、ハイドンの評価は日本では低いので、これが一番よかっただろうと思います。
今、新しいパソコンで聴きますとなんと音がいいのでしょう!これが最近のパソコンの実力なのですね。もうすっかり私はいいコンポを買う気が失せてしまいました・・・・・
それは置いておいて、とにかくこの古い演奏は、性能のいい私のパソコン(といっても、ほぼ8万円のフロンティアなんですけどね)でとてもいい音でなってくれます。それがハイドンの音楽をまた違ったものにしてくれています。
さて、この第2集では作品1(そう、弦四が作品1なのですよ!)と作品2が並んでいます。この全集はとにかく入れられるだけ入れようという感じなので、CDによっては混載になっていますが、とにかく番号順に聞かせてくれます。そのどれもが、何とも楽しい!
モーツァルトのような個性的な颯爽とした感覚はないですが、その代りとても平和でのんびりとしながらも、メリハリのついた音楽がそこには確かに存在します。ソナタ形式もかなり出来上がりつつありますし、これが作品1あるいは2なのか?と驚きを隠せません。
弦楽四重奏曲はディベルティメントから派生したように、サロンで演奏されるのがもともとでしたが、しかしその割には高い演奏技術がもとめられるものがすでにこの第2集で現れています。作品1の6では、一見すると簡単そうに見えて実はよく音を聞かないと合わせられないものが登場しています。これは彼が交響曲を書き始めた時期と軌を一にしているんですよね。つまり、彼は交響曲を書きながら、弦楽四重奏曲を確立していったといっても過言ではありません。
それをベートーヴェンもモーツァルトも知っていた。だから、弦楽四重奏曲はハイドンをお手本にした・・・・・となると、少なくともこの弦楽四重奏曲というジャンルにおいては、ハイドン→モーツァルトおよびベートーヴェン、という流れにならざるを得ません。どう考えましても、ハイドン→モーツァルト→ベートーヴェンという流れではないということが分かるかと思います。
ハイドンの弦楽四重奏曲を聴くということは、その西洋音楽の本当の流れを勉強できる格好の教材であると、私は思います。そのため、この全集を狂ったように借りていきました。県立図書館は6点まで借りられるのですが、その限度いっぱいまで借りたこともあります。大体一点で3枚くらい入っていますから、最大18枚借りていたことさえあるのです。そうして一気に聴いていきますと、ハイドンの音楽に対して私はどうしても敬意を感じずにはいられなくなりました。
私たちは争い事は嫌いな人が多いかと思いますが、その割にはもっと厳格な音楽を聴いていると思います。しかし、人間は争いもしますが協力もしますし、時として友情をはぐくんだりもします。そんな人間の穏やかな感情が、ハイドンには詰まっています。
この作品1と作品2には、そんな穏やかな音楽がたくさん詰まっています。まだまだ形式的には完成の度までに至っていませんが、かといって洗練されていないのではなくとても洗練されているのです。そこにハイドンの才能を感じますし、同時期に交響曲も精進していたことを考えますと、彼の功績はもっと評価されていいのではないかと思います。
ベートーヴェンですと、一つの楽器が前奏を奏で、ほかの楽器が追随するという形式も出てきますが、まだこの時期のハイドンの弦四にはそのようなものはありません。しかしそれは簡単に見えて実はとても難しいものなのです。前奏なしということは、テンポは合わせてみなければわからないということを意味しますから、出たとこ勝負という側面がありますので、実はとてもスリリングです。それを、エオリアンは絶妙のコンビネーションで合わせているのです。これこそ、室内楽の妙です。
他のジャンルだと「セッション」という言葉がありますが、まさしく弦楽四重奏曲をはじめとする室内楽は「セッション」そのものなのです。その原点を、ハイドンで聴くことが出来る喜び・・・・・これに勝るものがありましょうや!
聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
弦楽四重奏曲第4番ト長調作品1-4 Hob.III.4
弦楽四重奏曲第6番ハ長調作品1-6 Hob.III.6(5番は現在交響曲第107番とされています)
弦楽四重奏曲第7番イ長調作品2-1 Hob.III.7
エオリアン弦楽四重奏団
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