かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:ブルックナー 交響曲第8番

今回は、マイミクさんから買いましたCDをご紹介します。というより、今日ご紹介するのは、実はおまけなんですが・・・・・

しかし、そのおまけがブルックナー交響曲第8番なのですから、まったくすごいことです。しかも、指揮はフルトヴェングラー。オケは勿論、ベルリン・フィル。ライヴ録音のようです。1949年3月15日収録です。

ようです、という表現を使ったのは、実はこの時期の記録は放送局のものを使うことが多いからです。ですので、この演奏が単なるライヴ録音なのか、それともラジオ放送に使ったものをレコードにしたものなのか、よくわからないからです。

英語の解説書はついていますが、ざっと読んだ限りでは詳しくは書かれておらず、もう少し丁寧に読めば書いてあるかもしれませんが、今のところは不明と述べておきます。

ただ、この演奏はとてもすばらしいもので、フルトヴェングラーの偉大さを充分感じ取ることができます。

実は、このCDは私にとって初めて買ったフルヴェン/ベルリン・フィルの演奏になります。演奏自体はmp3などでも聴いたことがありますが、自分でCDを買ったのはこれが初めてになります。

以前から欲しかった指揮者ではあるのです。ただ、これまでは基本的にデジタル録音と決めていましたので、今までは遠ざけていたのです。それが、カラヤンで開眼し、私のほうからもしあれば、入れていただいて結構ですと申し出ました。

つまり、これはおまけでなくても良かったのですが、ご本人はおまけでつけてくださいました。もしかすると、私が望んだものの方がおまけだったのか?と感じるくらいです。

特にこの演奏で際立つのは、ダイナミックさです。ブルックナー交響曲といえばそれが代名詞ではありますが、かといってこれほど際立っているのはあるのでしょうか。私もブルックナーに関しては初心者ですからなんともいえませんが、ここまでフォルティシモとピアニシモの差をつけている演奏は他の作曲家の作品の演奏でもあまり聴いたことがありません。

スタジオ録音ならば、それはいくらでも調整できます。その典型がステレオ時代のカラヤンでした。しかし、ライヴ録音となるとそうは行きません。一発勝負ですし、仮に調整したとしても微々たるものでしょう。それにも関わらず、ここまでの熱情的な演奏はすばらしいです。神々しさもさることながら、その熱情的な演奏が特に印象的です。このCDではそれが特に第2楽章スケルツォと、第4楽章で聴くことができます。

ウィキには、こう書かれています。

「スコアの深読みにかけては今なおその追随を許さず、燃えれば限りなく燃え上がり、落ち込めばどん底まで落ち込む、この落差は曲のフォルムをとらえるというより、人間の情念をえぐりだすものと言われる。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC
そういわれてみれば、その通りだと思います。その落差が大きいことがすばらしいのです。それは、初めて彼の演奏を聴いた、NHK・FMでのバイロイトの第九を思い出してみても、同感です。

今まで私が聴いたステレオ録音の演奏の特徴は、とにかく神々しさを前面に出す、というものでした。それはとてもすばらしいのですが、この演奏はやはり他の追随を許さないように今の私には思えます。

おそらく、この演奏もステレオ録音だったならば、もっと神々しいはずだという点はいくつもあります。恐らく、それがきちんと出るのがステレオ録音の特徴であるのだと思いますが、それでもモノラルというハンデを追いながら、ダイナミックさでカバーするフルトヴェングラーの解釈はすばらしいです。

勿論、彼がこの収録時にモノラルということを念頭に置いたとは思えません。それが彼の特徴なのですから。ただ、この演奏を聴いた当時の人たちは、終わったあと放心状態だったでしょう。その証拠が、最後の拍手に表れています。賞賛の拍手なのですが、どことなく疲れたような感じです。指揮者はフルトヴェングラーなのに・・・・・

まあ、彼はナチへの協力等で物議を醸し出した人ですから、そのあたりが絡んでいるのかもしれません。しかしながら、このものすごい演奏を聴いた後の散発的な拍手。拍手すらできなかったのではないか、そんな気もします。

確かに、フルトヴェングラーは偉大な指揮者です。しかし、私はいきなりこの演奏に出会わなくて良かったと思っています。恐らく、他の演奏が聴けなくなっていたでしょう。それほど、インパクトのある演奏です。是非とも、覚悟してお聴きください。それだけ、名演です。


聴いているCD
アントン・ブルックナー作曲
交響曲第8番(ハース版)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ARKADIA CDWFE 356.1)