かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:ロッシーニ スターバト・マーテル

今日は、ロッシーニスターバト・マーテルです。これはマイミクさんから買ったもののうちの一つです。ここまでご紹介したものは基本的に私が「ください」と申し出たものです。

ただ、今回もこのほかにたくさんの「おまけ」をつけてくださいまして・・・・・ありがたいことです。

おまけは、明日以降にご紹介するとして、スターバト・マーテルですが、特に宗教曲を聴かれない方に解説いたしますと、日本語には「悲しみの聖母」と訳される、キリスト教の聖歌です。その由来は、歌詞の一行目に「悲しみの聖母は立ちぬ」とあるためです。

宗教曲にもいろんなジャンルがありますが、ある意味、歌詞の一行目がそのまま題名になることはさして珍しくはないのですが(バッハのカンタータなどはその典型になります)、スターバト・マーテルのように宗教曲の一ジャンルを形成するものは余りありません。

レクイエムも同じといえばそうですが、それでもレクイエムはあくまでも「死者のためのミサ曲」という正式の題名があります。レクイエムはあくまでもミサ曲と区別するための通称でしかありません。ですから、私もモーツァルトのミサ曲をとりあげたときに、レクイエムもその中に入れたのです。

ところが、スターバト・マーテルに関しましては、聖歌の一つでありながら、完全に一つのジャンルとなっています。それがゆえに特に合唱関係者にとってはポピュラーです。

しかし、あくまでも聖歌のうちの一つである、と理解していただければと思います。歌詞の内容は母マリアがキリストの磔刑を嘆き悲しんでいるというものです。

つまり、キリスト教の中心をなす内容なのです。そういう意味では、その悲しみの内容はレクイエムにも比肩するといっていいでしょう。

歌詞全文と詳しい解説は、ウィキペディアの以下のページを参照くださいませ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB

通常、いくつかの楽章に分かれており、それは作曲者によって異なりますが、勿論歌詞は一緒です。ロッシーニの場合には、以下の楽章構成になっています。

�@Stabat mater
�ACuius animam
�BQuis est homo
�CPro peccatis
�DEia, Mater, fons amoris
�ESancta Mater
�FFac, ut portem
�Ginflammatus et accensus(ここだけ、ウィキとは歌詞が違っています)
�HQuando corpus morietur
�IAmen(この楽章では、歌詞が追加されています)

全体的には、前半では聴きやすい、一瞬オペラかと思うような音楽を使っていますが、後半へ行くに従い静謐な音楽となっています。それは、前に取上げました小ミサ・ソレムニスとも共通します。

ロッシーニの「教会音楽を多くの人に」という意識をとても感じる曲です。ドラマティックな点は小ミサ・ソレムニスよりもさらに多く、特にinflammatus et accensusとAmenに関しましては、そのドラマティックさは息を呑みます。さらにアーメンは美しく、追加された歌詞がフーガで出てくる部分は、とても均整がとれたすばらしいものになっていて、オペラ作曲家という側面からは語ることができない別の側面が出ています。

演奏も、合唱団にそれほど強くうたわせないのに説得力があり、仮にもこの曲をオペラとして捉えるのではなく、自然体で宗教曲として向き合っています。それがとても好感が持てます。冒頭の嘆きの部分が、決してドラマティックなだけでなくまず静謐な音楽から入っているのもきちんと表現していますし、ロッシーニに対する尊敬の念を感じます。

合唱団の歌い方もまた良く、のびのびとしています。フォルティシモ部分で強くうたってはいますが、かといって目いっぱい強くという感じを受けません。これぞプロですが、ただそれがきちんとできるというのは、実はなかなかできないことなのです。こういう歌い方ができる合唱団は、間違いなくピアニシモも美しく歌えるもので、それはこの演奏でも第9楽章で表れています。

私がもし今合唱団に入っていれば、定期演奏会の演奏曲として、推していると思います。


聴いているCD
ジョアキーノ・ロッシーニ作曲
スターバト・マーテル
ヘレン・フィールド(ソプラノ)
デッラ・ジョネス(メゾ・ソプラノ)
アーサー・デイヴィス(テノール
ローデリック・イェール(バス)
ロンドン交響合唱団
リチャード・ヒコックス指揮
シティ・オブ・ロンドンシンフォニア
(Chandos CHAN 8780)