さて、今日はK.257「クレド・ミサ」です。ここでも、ケッヘル番号が狂っていますが、これも新全集に習った結果です。
実は、雀ミサ以来ミサ・ブレヴィスは作曲されなくなり(少なくとも、完成しているのは残っていません)、全て(正確には、怪しいのが一つありますが・・・・・)ミサ・ソレムニスとなります。それも、ほとんどハ長調。ここに、彼の自信と教会からの信頼が見て取れます。それは、彼がコロレドの課題を見事達成した証でもあります。
そのうちの一つでもあるこのミサ曲は、小クレド・ミサ同様にクレドに「クレド!」の連呼があることから、クレド・ミサと呼ばれます(しかも、同じジュピター音形です)。この曲もミサ・ロンガという説もあり(レオーポルトの手で自筆譜にそう書かれていたため)ますが、内容的にはミサ・ブレヴィスの形式もあることから、ミサ・ソレムニスと扱うのが適当であろうとされています。この曲は目的がはっきりしていないミサの一つで、この時期の彼の作品には多く見られます。そのことから、この曲も「シュパウア・ミサ」ではないかとも言われています。
しかし、そんなことはどうでもいいです。この曲も聴き所満載です。
まず、キリエですが、これも壮麗な前奏で始まります。堂々としていて、まるで抜けるような青空です。しかし、一点テンポが速まり、楽しい音楽が始まります。まさしく祝祭!どんどん盛り上げてゆく感じになっています。
グローリアはそれを受けたこれも明るい曲。テンポがこれも速いです。クレドに先行するようなグローリアの連呼。長音符と短音符の効果的な使い方、そしてシンコペーションの導入。とても速いテンポの中で、ミサをどんどん盛り上げてゆく形になります。
そして、なんと言ってもクレドです。ジュピター音形のクレドの連呼が全体を支配し、神への信仰告白で埋め尽くされます。磔刑から復活の場面の展開とその転調もすばらしく、まさしく「信仰告白」というにふさわしい場面です。しかも、速いテンポの伴奏部に長音を使ったメロディ部分という、構成的にも非常に完成度の高い作品になっています。このあたりは本当に聴いていてうなってしまいます。
サンクトゥスもきちんとした繰り返しがなされていて、以前のミサ・ブレヴィスで見られたような一回だけにするなどによる単純化ではなくなっています。それよりもテンポや音形、重唱の活用などによってコンパクトにしています。
ベネディクトゥスは前作で短くされたソリストの部分が復活し、アリアが充当されていますが、それに合唱が絡む形になり、そこに彼の遊び心も見え隠れします。
アニュス・デイではテンポががらっと代わり、前奏部分のようなゆったりとした、堂々たるテンポになります。そして、平安を祈りながらそっと終わります。このそっと終わるのもまたおつなもので、最初あれ?って思いますが、何度か聴きますとそれがたまらなくなります。
全体的にこれだけ祝祭感あふれるミサ曲も彼の中ではないでしょう。私もお気に入りのミサ曲のうちの一つです。とてもアグレッシヴですし、ノリノリです。そこに私は、モーツァルトの当時の自信を感じるのです。