さて、今日の一枚シリーズ、しばらくダイソーのCDを取上げていますが、今回はその中のベートーヴェンのを取上げます。
収録曲は運命と交響曲第8番。
いやあ、このラインナップを見たときに、渋いなあと声をあげました。運命は有名な曲ですが、カラヤンといえば運命でのテンポの速さですし、それに形式的にも特徴的な8番という、初心者にもコアなクラシックファンにもうれしい内容です。
今回はCDexを使いWAVEファイルへリッピングした上で聴いています。内容としては100円とはとても思えないのですが、製造品質は100円のようです・・・・・(;_;)
さて、まず交響曲第5番「運命」ですが、多分あの颯爽としたカラヤンの運命を想像されている方は、敬遠したほうがいいかもしれません。そんな点は微塵もありません。ある意味泥臭い演奏で、第1楽章の運命のテーマなど、充分に音を引張っています。
モノラルですが、私としてはとても好感持てる演奏です。近年のさらっとした演奏がお好きな方はお買い求めにならないほうがいいでしょう。
特に圧巻は、第4楽章。実は私は運命において一番好きな楽章です。トランペットのファンファーレをゆっくり鳴らしながら、テンポを徐々に上げてゆく点は、涙なしには聴けません。
そういう意味では、とてもカラヤンらしくない演奏でしょう。それがカラヤンの意思なのか、それともオケとの妥協の産物なのかは意見が分かれるところでしょうが、私にとってはつぼにはまった演奏です。これ以上を他のどの演奏に求めることができるでしょう?
第8番も比較的ゆったりとしたテンポです。メトロノームを使って作曲されたといわれる第2楽章もそれほど早くなく、しかし魅力をたっぷりと伝えてくれています。第2楽章がスケルツォであるという点は第九を先取りしたものですし、第3楽章にメヌエットという前時代的な指定を持ってきた点もピアノソナタでの対位法使用にもつながるなど、第8番はベートーヴェンの交響曲の中でも人気は少ないですがしかし重要な曲です。
私の中では一番の演奏ではないものの、それでも2番目にはくる演奏です。ある意味諧謔的なこの曲がいかに重要な曲なのかを知らしめしています。
運命とのカップリングは田園かシューベルトの未完成と相場は決まっていますが、こういう組み合わせもいいなあと思います。
製造品質を抜かせば、買う価値のある一枚です。何しろ、名演が100円ですから・・・・・
訊いているCD
クラシック音楽6「若き日のカラヤン」ベートーベン
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ダイソー ザ・CD CD-6)