かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:ドヴォルザーク 交響曲第1番・伝説曲作品59第1番から第5番

「今日の一枚」シリーズ、しばらく友人から私が買いましたCDを紹介してきましたが、今回からはしばらくドヴォルザークになります。

いやあ、始めはブルックナーだけのはずだったのですが、大盤振る舞いをしてくれました。やはり、持つべきものは友、ですね。

ドヴォルザーク交響曲、全てナクソスで1番から8番まで売って下さいました。本当にありがたいことです。

ただ、すでにドヴォルザークは自分で持っているものに加えて、図書館で借りてきたものを加えて全てそろっていたのですが・・・・・

いきなり、ドヴォルザークはライブラリが豊かになりました。

さて、今日は第1番です。「ズロニツェの鐘」という標題がついています。実はこの曲、すでに私はCDでもっていました。おそらく、10年位前に地元のレンタルヴィデオ店の中古CD放出のときに買っています。

ドヴォルザークの第1番なんて、知ってはいるけれど、あまり聴いたことのない曲。とにかく、聴いてみようと興味半分で買った曲です。

まさか、それをもう一枚もつことになるとは・・・・・・

この曲は、ドヴォルザークがしばらく作ったことを忘れていた曲で、初演も1936年と彼の交響曲の中で最も新しく、知名度も低い曲です。そんな曲がもう一枚手に入るなんて・・・・・

いや、本当はドヴォルザークも取上げたかったところではあるんです。ですので、今回は今日の一枚シリーズではあるんですが、ベートーヴェンの弦四のようにすこし聴き比べも含めて述べてみようと思っています。

で、率直な感想は・・・・・演奏はすばらしいのですが、前の演奏が頭に入りすぎていて、本当にこの演奏のすばらしさを私は理解できているだろうか、という感じです。

実は、その前の演奏、つまりは自分がもともと持っていたCDなのですが、それはノイマン/チェコ・フィルです。で、今回取上げているのはシュテファン・グンツェンハウザー指揮、スロヴァキア・フィルなのです(伝説曲はチェコスロヴァキア国立放送交響楽団(ブラティスラヴァ)です)。

その違いは、もしかするとそのオケがある場所の差、なのかなあと思っています。

ドヴォルザークはもともとチェコの人ですが、私たちはどうしても昔の「チェコスロヴァキア」という国名で考えてしまいますが、今はチェコとスロヴァキアという二つの国名に分かれています。この演奏が収録された時点(1990年)ではまだひとつの国でしたが、その後スロヴァキアで民族運動が盛んになり、ついに二つの国に分かれてしまうのです。

つまり、もともとスロヴァキア人ではない作曲家の音楽を演奏している、という気持ちはなかっただろうか、と私は考えてしまうのです。

勿論、東欧、特にチェコなどのオケはレヴェルが高く、東西冷戦時代から西側オケに負けていません。チェコフィルがあまりにもクローズアップされがちですが、そのほかのオケも実力派ぞろいです。それを証明したのが、ナクソスだったといっても差し支えないと私は思っています。

実際、私のライブラリでも困ったときにはナクソスで埋めましたし、それは現在でも変わっていません。値段も安いですし(今はそれが主な理由ではありますけど、未だにそれだけではありません)。

この曲はとても習作とは思えず、すでにその後の名作を予感させる曲です。ぜひとも多くの方に聴いていただきたい曲です。そういう意味では、そのような重要な曲が1000円程度(今は1200円しますね)で買えるというのはすばらしいことですし、それがナクソスが果たしている重要な役割だと思います。

しかし、それがスロヴァキアのオケである、ということは知っておいていいだろうと思います。確に収録当時は同じ国だったわけですが、実はその当時から民族運動がくすぶっていたということは事実で、それが微妙に演奏へ影響を与えていないかなあと思います。

思い過ごしであって欲しいのですけどね。実際、ナクソスの演奏にはさらっとしたものが多いので、一概には言えないのですが・・・・・

ただ、チェコ・フィルの演奏を聴いてしまうと、そんな気も少しだけしてしまうのです。

もう少し、聴きこみたいと思った演奏でした。

一方で、伝説曲は始めて聴く曲であるということもあり、とても楽しめました。もともとピアノ曲であるものをオケ用に編曲したものですが、一般には伝説等とは関係がなく、スラヴ舞曲で描ききれなかったものを表現しているといわれています。それはすっとボヘミアの森が表現されているように思いました。それは恐らく、オケが国立放送オケだからだろうと思ってしまうのです。やはり、冷戦時代にはいわゆる宣伝を担当したわけですから、それなりにえんそうすることを使命としていたはず、ですから。

同じスロヴァキアのオケでありながら、違いを感じた演奏でした。


聴いているCD
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第1番・伝説曲作品59第1番から第5番
シュテファン・グンツェンハウザー指揮
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団交響曲第1番)
チェコスロヴァキア国立放送交響楽団(ブラティスラヴァ)(伝説曲)
ナクソス 8.550266)