今回は、ドヴォルザークの第2番です。カップリングは伝説曲の第6番から10番まで。前回取上げましたナクソスのシリーズの続きになる一枚です。オケ、指揮者ともに一緒です。
やはり、率直な感想は、うまいけれど・・・・・です。
スロヴァキアの民族運動が背景に横たわっているなと感じます。それは、もともと自分で持っていましたスウィトナー/シュターツカペレ・ベルリンと聴き比べてみますと、よくわかります。
弦がフォルティシモになる部分で、違いがあります。スロヴァキア・フィルは何となくきれい過ぎるんです。
それはもしかすると、シュターツカペレ・ベルリンが旧東独の国立オケだから、ということもあるのかもしれません。当然、宣伝の要素が入っていますし。それは国立オケではないにせよ、「プラハの春」では長らく常連だったチェコ・フィルにしても同じでしょう。
もちろん、東西冷戦時代旧東欧では国家の元にありましたから、当然どこでも民族の影響を受けないわけはないはずですが、宣伝の要素が入りますとそれは必ずしも単純に民族色が出るわけではありません。それは、シュターツカペレ・ベルリンとチェコ・フィルの弦の音色が近いということでも明らかです。
もちろん、シュターツカペレ・ベルリンもドイツのオケらしい音色がそこかしこに出ています。それでも、スロヴァキア・フィルと比べるとまだ癖があるんですね、ドイツ的な分。
それが、スロヴァキア・フィルからはまったく感じられない・・・・・
何となくコスモポリタンなんですね。
一方、伝説曲を演奏するチェコスロヴァキア国立放送交響楽団(ブラティスラヴァ)はそんなことはありません。このあたりが面白いところです。
チェコスロヴァキアが目指した国家の理想と、現実を垣間見られるシリーズかもしれません。
しかしながら、演奏レヴェルはやはりすばらしいです。ですので、演奏レヴェルさえ高ければいいのか、それとも何か特徴あるほうがいいのかの選択なのだろうと思います。やっぱり、ナクソスの安さと演奏レヴェルの高さは魅力です。
それでも、チェコのオケで聴いてしまったら、一体どうなるだろうと、考えざるを得ないのです。
聴いているCD
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第2番・伝説曲作品59第6番から第10番
シュテファン・グンツェンハウザー指揮
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団(第2番)
チェコスロヴァキア国立放送交響楽団(伝説曲)
(ナクソス 80550267)