さて、今日は前回に引き続きナクソスのドヴォルザーク交響曲全曲シリーズを取上げます。今日は交響曲第3番と第6番です。指揮者およびオケもまったく一緒です。
同じなのに、この差は何・・・・・?
よそ行きのような感じはまるでしません。ボヘミア風に一気に変わっています。
特にその傾向が顕著なのが第6番です。第6番に関しては以前、スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリンとノイマン/チェコ・フィルを比べたことがあったと思いますが、そのときにも同じような感情を抱きました。
断然、チェコ・フィルなのです。その雰囲気がこの6番に関してはスロヴァキア・フィルにしては良く出ています。
6番あたりから明確にボヘミアの民族色を出してきていますが(特に、第3楽章スケルツォにフリアントを使用している点)、そのせいかもしれません。つまり、楽譜という設計図に民族色をはっきりと埋め込んでいる、そんな気がします。さすがのスロヴァキア・フィルも民族色を出す演奏にならざるを得ないという感じです。
このあたりに、東ヨーロッパの複雑な事情を私は感じるのです。
3番はスウィトナー/シュターツカペレ・ベルリンを聴き比べていますが、スロヴァキア・フィルもすばらしいのですが、やはり癖がない分、何となく物足りません。しかしそれは2番までのような余所行き間がない分、しっかりと楽しめます。
3番は構成的にも面白い曲で、三楽章形式なのです。しかも、第1楽章にはアレグロ、第2楽章にはアダージョ、第3楽章にはアレグロでロンドと、まるでハイドンです。コンクールを意識した曲とはいえ、この構成にはびっくりです。第2楽章にはワーグナーのタンホイザーのモチーフが使われているなど、いろんな形式を試した曲、という感じです
それゆえに、特に1番から5番くらいまではあまり人気がありません。6番ですら戦後に人気が出た曲で、このカップリングはそういう点を考えてのことのようにも感じます。
しかし、特にスウィトナーやノイマンの指揮を聴いていると、なぜ人気がないのかなあと首を傾げてしまいます。演奏次第ではとても生き生きとした曲です。その次点ともいうべき演奏がこのCDだと私は思います。
もっと演奏機会があってもいいように思いますね〜
聴いているCD
アントニン・ドヴォルサーク作曲
交響曲第3番・第6番
シュテファン・グンツェンハウザー指揮
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
(ナクソス 8.550268)