かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今日の一枚:ラフ 交響曲第9番・第11番

今月は奮発しまして、なんと4枚も買ってしまいました!ですので、「今日の一枚」も今月分は4回目となります。

さて、今回は以前よりご紹介しているヨアヒム・ラフなのです。ハンス・シュタッドルマイヤー指揮、バンベルク交響楽団のチクルスです。

私も意外と調べないで買ってしまうのですが、このチクルスでほぼ全曲網羅されています。ですので、私もおいおいこのシリーズで買いたいと思っていますが、皆様にもこのシリーズをお勧めします。

ただ、このチクルス唯一の欠点は、スイスのレーベルだと言うこと。普通のデッキで聴くにはおそらくなんら問題ないと思いますが、私はパソコンで聴きますので、データをうまく読み取ってくれないのです。私もきちんと聴くまで、部屋内部の気温や湿度を下げて、データをリッピングして初めて全部聴くことができました・・・・・

これが国内版ですと、あまりこういうことはないんですが(でも、この前のベートーヴェンの弦四のようなこともありますので、一概には言えないのですが)。

収録されている曲は、第9番「夏に」と第11番「冬」です。ともに各楽章にドイツ語の標題が出ています。何となく、ベートーヴェンの「田園」を想像しますね。

さて、それぞれどんなものなのかと言いますと・・・・・・

交響曲第9番ホ短調作品208「夏に」
各楽章にドイツ語の標題のほか、イタリア語の指示があります。4楽章形式を取っていますが、実際には楽章は3つで第3楽章が2部に分かれています。

・第1楽章:ある暑い日。アレグロ
「夏に」という標題がついているように、夏を表現した曲らしく暑い日が描かれます。明るく静かで、かつじりじりとした夏の日差しが伝わってきます。ソナタ形式です。

・第2楽章:エルフ(小妖精)の狩。アレグロ
ゲルマン神話の小妖精エルフがオベロンとタイタニアを集めて狩を行う様子が描かれます。幻想的な世界が広がりますが、ところどころでブラームスっぽい響きもあります。

・第3楽章A:牧歌。ラルゲット
「牧歌」らしく、なんとものどかな音楽です。遠くにはコラールもなっていて、ゆったりと時が流れてゆきます。

・第3楽章第2部:収穫祭の花輪。アレグロ
同じ第3楽章のはずなのに、何となく季節は秋へと移り変わったようです。始めは夏らしい感じもしなくもありませんが、そのうち秋の収穫祭が始まります。ですから、夏だけを描いたのではなく、夏から初秋残暑が残るころまでを描いた、まるで人生を謳歌する曲という感じがします。
ただ、形式的にはソナタ形式なので、これは第4楽章と捉えるべきなのではと思います。ただ、恐らく作曲者としては、牧歌を序奏として、この楽章をコアにするという格好で一体にしたかったのでしょう。

主調が短調なのでだまされやすいかもしれませんが、全体的に明るさが支配し、楽しい音楽です。生きてるってすばらしい!そんな感じですね。ただ、私はベートーヴェンの「田園」の影を感じます。

交響曲第11番イ短調作品214「冬」
ラフの最後の交響曲にあります。第2楽章だけ標題がありません。以前ご紹介した第10番「秋」のすぐ次の作品になります。

・第1楽章:最初の雪。アレグロ
「雪が降ってきました」と言いたくなるような出だしです。そしてどんどん降り積もり、やがて白い世界に覆われてゆく。その中に人々が出て、活動が始まる。そんな情景がありありと目に浮かびます。
ソナタ形式です。

・第2楽章:アレグレット
これには標題がついていません。聴く人それぞれの想像に任せているようです。私としては、まだ雪が降っていて、どんどん積もっている情景を表しているのかなと思いました。

・第3楽章:暖炉の側で。ラルゲット
今度は一転、暖炉の側の様子が描かれます。人が眠っているのか、それとも子供がお母さんに本を読んでもらっているのか。温かい様子です。ゆったりとした楽章なのですが、一応スケルツォです。

・第4楽章:カーニバル。アレグロ
そのものずばり!です。春が待ち遠しい人たちのエネルギーが満ち溢れているようです。それがすばらしいソナタ形式なのですから、ラフと言う人の作曲能力を本当に何で今まで評価して来なかったのだろうと思います。なぜなんでしょうねえ・・・・・・

この曲も主調が短調ですが、明るく終わりますし、全体的に生命の息吹を感じます。また、9番同様冬だけではなく、春へ向かう様子も描いています。

この2曲は標題音楽ですが、かといって絶対音楽の範疇からほとんどはみ出していません。そこが非常に聴きやすく、また私はブラームス的な音楽でありながら、ベートーヴェンを強く感じます。むしろ、ブラームスがラフをまねたのではないかと思うくらいです。

もっと評価していい作曲家だと、聴く度に思います。

聴いているCD
ヨアヒム・ラフ作曲
交響曲第9番・第11番
ハンス・シュタッドルマイヤー指揮
バンベルク交響楽団
(TUDOR7120)