かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:大賀さんのモーツァルトとシューベルト

今回のマイ・コレは、1992年8月のシュレースヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭での、ソニー元社長、大賀典雄氏指揮、シンフォニア・ヴァルソヴィアの演奏です。収録曲はモーツァルトの40番と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、「フィガロの結婚」序曲、シューベルトの「未完成」です。

以前、モーツァルトの40番と41番を取上げたときに、40番はもっとロマンティックなものだと思っていたと書きましたが、当時第1楽章がゆったりしたものが私は好きだったのです。ですので、このCDを買ったときはそれを期待して買った一枚ですし、つい最近まで好みだった一枚です。

社会人一年目で買ったCDということもありましたし、何よりも当時ソニーは自分が勤めていた会社の得意先でした(そして、その当時の社長が大賀氏でした)し・・・・・・

でも、それはだんだん評価が変わってゆきました。今では、いちばん最初に買ったサヴァリッシュ/チェコフィルのものの方が好みとなっています。

この40番という交響曲、実は第1楽章は指示が「モルトアレグロ(やや快速に)」ですから、ゆったりと演奏するのはどうなんだろう、と。そして、この曲は短調ですが、他のモーツァルト短調の曲で、アレグロ表記があるものでゆったりとしているものって実は少ないことにいろんな曲を聴くに従い気がついてきたのです。

その実例を挙げますと長くなりますので省きますが、そう考えますと、なぜサヴァリッシュが速いテンポで第1楽章を駆け抜けたのかが、この演奏と比較してみますとわかってきたのです。

大賀氏はもともとは音楽家ですから、その点をわかっておられないということはないと思うんです。でも、ゆったりとしたテンポで演奏されるのは、恐らくアレグロという速度が実際どれくらいの速度なのかが結構あいまいなこと、そしてそのゆったりとしたテンポが伝統的な演奏であるということの二つ理由があるのでは?と思います。

ですので、例えば一つ一つの音を丁寧に鳴らすなど、堅実な演奏をしようとしている点は素晴らしいですし、実際この演奏はライヴですが拍手も多くその場の評価も高かったのだと思います。けれども・・・・・

やっぱり、私はその「テンポ」に違和感を持つのです。同じアレグロ楽章である第4楽章(アレグロ・アッサイなのでまったく一緒ではないですが)は快速です。いや、「鉄」風に言えば「超特急」かもしれません。その音楽観が私にはちょっと納得しかねる部分に今ではなっています。

それよりも、むしろ無難な演奏であるシューベルトの「未完成」や、快速さで徹底されている「フィガロの結婚」、あるいは「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のほうがすばらしいと思います。

モルトアレグロ」をどう解釈するのかで変わってくるのでしょうが、私は音楽観のちがいから今はこの演奏は殆ど聴きません。それ以外の曲は結構聴きますが・・・・・

まあ、すばらしい演奏には変わりないのですけれど、でも、私はなぜかそこがどうしても気になるのです。



聴いているCD
ヴォルグガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第40番と長調K.550
アイネ・クライネ・ナハトムジークより第1楽章
フィガロの結婚」序曲K.492
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」(CD表記のまま)
大賀典雄指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
(ソニー・クラシカル SRCR 9161)