今日の「マイ・コレ」は、久しぶりにクラシック以外です。今は関西では人気のMC、やしきたかじんのが本業の「歌手」としてだしたアルバム「Mood〜夢見る男のために〜」です。
まず、殆どの方が驚かれるでしょう。「なんで彼なの?」と。
彼を知ったのは、社会人一年目、私を指導してくれた先輩が好きでして、その先輩に影響されたのと、声に特徴があり、しかも高音が素敵だからです。司会者としての彼の声より、ずっと素敵です。
いや、司会者としての彼の声も決して嫌いではありません。ただ、彼の歌声はとにかく伸びやかなんです。それが私は今でも魅力です。
このアルバムは、彼が東京へ進出した時期に出されており、それまでの恋愛ソング路線だけではなく、もっと人生そのものを歌っていることでも特色ある一枚となっています。ちょうど第6曲目「東京」が大ヒットしていた時期です。町中、それこそ東京でもかかっていましたね、「東京」。
彼の出した本もこの時期読んでいまして、彼が本当に人間の生き様というものに常に興味を持っていて、それを歌うという姿勢にも共感を持っています。ですから、全ての歌がとても優しいのですね。それに乗っかる、たかじんのテノールの明るくて伸びやかな音色。思わず泣いてしまう場面もたくさんあります。
その点では、これこそ彼が歌いたかったことを実現できたアルバムなのかもしれません。歌詞をとてもよく読み込んでいますし、せつせつと哀歓が伝わってきます。それもまた、素敵な点です。
この後、彼は東京から撤退し、関西、特に大阪ローカルを中心としますが、それはそれでよかったのではないかと思います。彼の本業はあくまでも歌手。その歌声を犠牲にしてまで本業以外の仕事にこだわる必要はないと、私は思います。その撤退ぶりも、私にとっては素敵な点です。
聴いているCD
やしきたかじん Mood〜夢見る男のために〜
(ポリスター PSCR-5010)