かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:アイヴズ 交響曲集1

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリをご紹介します。今回はアイヴズの交響曲を二つ収録したアルバムをご紹介します。

このブログでは初めてもしくは2回目ぐらいではないかと思われる、アイヴズ。北欧かと思いきや、じつはアメリカの作曲家です。とはいえ、この人作曲が本業ではなく、本業は経営者なんですよねえ。

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とはいえ、学業としてはかなり濃い音楽教育を受けており、だからこその作曲活動だと思うのですが、楽壇デビューより先に社会人として自立したため、自作が演奏されるとどうなるかとかの作業をほとんどせずに来てしまっているんですね。そのため、多くの作品は演奏不可能な部分に満ちているという・・・・・

このアルバムには、習作とされる交響曲第1番と、「前衛的」という部分が最もぴったりくる交響曲第4番の二つが収録されていますが、後期ロマン派的な作品が習作って・・・・・それが、時代だと言えばそうだろうと思います。

少なくとも、第1番には習作なんて雰囲気は全くありません。というよりも、普通の作曲家なら交響曲第4番だって立派な習作というか、それ以前だともいえるわけでw

それでも、優れた校訂により、現在ではその作品一つ一つが魅力あるものだと実感されるようになっています。まだまだ日本ではアイヴズの作品が演奏されることはまれなんですが、今後多くなってほしいなと思う作曲家の一人です。

第1番はまだアイヴズがイェール大学在学中に完成させた作品で1896~98年にかけて成立しました。その分、後期ロマン派的ではあります。ですがこの時期、すでに先日取り上げた新ウィーン楽派が出現する時代でもあるわけです。そんな中この作品を書いたということが、ひいては習作とみなされることになるわけです。

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一方の第4番。アルバムではその前に引用された讃美歌などが収録されていますが、それがほぼそのまま出てくるのが印象的。なのに、和声はバリバリ前衛的な不協和音。ということは、アイヴズは前衛音楽の作曲家たちがなぜ不協和音を多用したのかということを、忠実に見せたということでもあります。つまり、その不協和音や引用には意味がある・・・・・それを、聴き手が考える、というものです。その意味ではオーケストレーションには問題ありだとしても、いわゆる20世紀音楽としては見事なまでの内容を持っているといえるでしょう。

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病気により40代で作曲を断念せざるを得なくなったアイヴズですが、もし健康であったらどんな作品をさらに生み出したのだろうと思うんですね、この二つの作品を聴きますと。特に第4番は確かにいろいろ考えさせる作品ですが、まだこなれてないような気もするんです。さらに50代、60代だったらどんな作品が出たんだろうと思いますと、少し残念です。

そんなアイヴズを演奏するのは、ナクソスパートナー・・・・・・ではなくなんと!マイケル・ティルソン・トーマス指揮シカゴ響とその合唱団。そんなビッグネームがアイヴズを演奏する・・・・・驚きかもしれませんが、それがいまのアイヴズの評価だともいえます。この二人がコンビを組めば、作品のテクスチュア、そしてその内容ががぜんはっきりと浮かび上がるから不思議です。というより、それがプロオケだともいえるわけなんですよね。日本では後期ロマン派まで「しか」聴かれない部分があるので、真のプロオケの実力というのはなかなか理解されにくい土壌がありますが、これが真のプロオケの実力だと思います。雄弁さによる説得力もこの演奏の魅力で、そろそろ「マスコミ」という「配電盤」はその役割を終えようとしているのかもしれません。

 


聴いている音源
チャールズ・アイヴズ作曲
交響曲第1番
讃美歌集(交響曲第4番に引用された原曲)
 はるかにあおぎみる
 永遠の故郷(Organ Solo)
 汝らキリストの先触れたちよ
 わがたましいを愛するイエス
 主よみもとに
交響曲第4番
マレイ・ザゥアー(ピアノ)
リチャード・ウェブスター(オルガン)
マイケル・ティルソン・トーマス指揮
シカゴ交響楽団・合唱団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。