今日はピアノソナタを中断し、一枚のCDをご紹介いたします。それは、2002年に小澤征爾がサイトウ・キネン・オーケストラを指揮した第九です。
この演奏はCDだけでなく、DVDにもなりました。そして、さらには演奏会当日に大型スクリーンで生中継され、お台場では多くの人が第九を野外で見る、いわゆる「パブリック・ビューング」がクラシックでは初めて行われました。
当時、私は「第九」の名が入る合唱団の広報を勤めており、勧誘とホームページを担当していました。この演奏会の後、入団者が増えたのをまるで昨日のように思い出します。
なぜ今日はピアノソナタを中断し、この第九の話題にしたかといいますと、WBCで侍ジャパンが連覇を達成したからです。本当に彼らはよくやりました。韓国に二度負け、ついに再びマウンドに韓国の国旗を立てられてしまいますが、そこから怒涛の勝利が始まります。まず、キューバを倒し、さらに再びの韓国戦で勝利し一位通過。
さらに準決勝。アメリカを大逆転。ビッグイニングを作るという、最高の勝ち方です。
そして、決勝戦。韓国に粘り勝ち、ついにイチローのバットが火を噴き、日本が連覇を果たしました。
まさしく、今回の日本は「苦悩を通じて歓喜にいたる」という、ベートーヴェンの言葉そのままの試合内容でした。チームがひとつにまとまり、「全ての人は同胞となる」との歌詞どおりに戦ってくれました。
決勝戦には第1回監督王さんもいらしていました。そして、故障で離脱した村田の分までがんばるといってその通りに活躍した内川(ベイスターズファンの私としてはこれが一番うれしかったです)もすばらしく、まさしく
御身の不思議な力は再び結び合わせる
時世によって引き裂かれたものたちを
という、第九の歌詞どおりの活躍でした。
振り返って見ますと、実は私が第九を聴いてから、日本は怒涛のごとく勝ち始めました。それはどうもタイミング的に原監督が狙っていたようで、決勝戦に最高のコンディションを持ってくるように戦ったようなのです。その前日、私はブログで交流のある方がそのブログ内で「今日は家族にいいことがあったので第九を取上げる」というので、たまには私もと聴いたのがきっかけでしたが、その日にキューバに勝ち、そこから見事な戦いぶりでした。
そして私はいやなシナリオを考えず、前向きに自分のなすことだけをしっかりとやろうと生活していましたら、連覇という奇跡が起きました。
人の祈り、気持ちというのは本当に伝わるものなのだなという気がします。
おめでとう、侍ジャパン!そして、勇気を与えてくれて、ありがとう。
これをきっかけに、野球が世界へ広まっていくといいですね。そう、この演奏のときに感動して第九を歌いたいという人たちがいたように。
ベートーヴェン 交響曲第九番ニ短調作品125「合唱」
アンネ・シュヴァーネヴィルムス(ソプラノ)
バーバラ・ディヴァー(アルト)
ポール・グローヴズ(テノール)
フランツ・ハヴラタ(バス)
東京オペラシンガーズ
小澤征爾指揮
サイトウ・キネン・オーケストラ
2002年9月5日、7日、9日、松本、長野県松本文化会館(ライヴ録音)
(UCCP-9424)
次からは、ピアノソナタへ戻ります。