かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:小澤とサイトウ・キネンの「運命」

今回のマイ・コレは、ベートーヴェンの運命と第2番他です。小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラの演奏です。

ベートーヴェンの運命に関しては、以前から演奏を探す旅をしているという表現を使ってきていますが、この演奏はその「旅」の一つの終着点となったものです。

この演奏は批判される点も多いのですが、10年ほど前に購入した当時は、私の好みの「運命」というものの条件をほとんどすべてと言っていいほど満たした演奏なのです。

・第1楽章冒頭の運命主題において、フェルマータをきちんと伸ばすこと(できれば、6拍が理想)
ソナタ形式において繰り返しがちきんとなされていること
・その上で、とてもドラマティックな演奏になっていること

当時持っていた音源の中で、この3つの条件を満たしたのは、このCDだけだったのです。それゆえ、今でも携帯に入れてあるほど、比較的ヘビーローテーションで聴いている演奏です。

特に、ほとんどが1番目の「フェルマータを伸ばす」という点で不満が残る演奏ばかりだったのです。私の青年時代は、快速でフェルマータを伸ばさない演奏ばかりでしたので・・・・・

いや、古い演奏に目を向ければ、フェルマータを伸ばしているものなどいくらでもあります。ところがその当時私は新しい演奏で求めていたため、なかなかなかったのです。そんな中で、この小澤とサイトウ・キネンは見事に古くさい演奏をまるで新しい演奏として提示したのです。

第1楽章のテンポなどは快速で、それ故批判の対象になるのですが、しかしフェルマータを伸ばしている点はあまり評価されないことが多いです。これこそ、私が待っていた演奏だったのです。

テンポは現代感覚あふれる快速でありつつ、フェルマータをきちんと伸ばして、ドラマティックな開始を演出してほしい・・・・・それを見事にやってのけています。

その後、スクロヴァチェフスキ/N響や、ケンぺ/ミュンヘン・フィルなどで私好みの演奏に出会っていますが、二番目の「ソナタ形式においてきちんと繰り返しをしてほしい」というのはやっていません。ただ、その二つに出会った時には、すでに繰り返しはどうでもよくなっていましたが・・・・・

ですので、この小澤とサイトウ・キネンの演奏は冒頭述べたように、「一つの終着点」となったのです。それ以後、満たされてからは少なくとも二つ目は気にしなくなりました。そこから、運命においては素晴らしい演奏に巡り合うようになりました。

そんな中で、宮前フィルの演奏に出会ったのは、それも「旅」の停車駅の一つなのだと思います。

一方、第2番はその陰に隠れてしまって地味ですが、これも快速の上に端正かつドラマティックで、緊張感ある演奏を聴かせてくれます。特にテンポ感の良さは格別です。

途中にカップリングされている葬送行進曲は、舞台劇「レオノーレ・プロハスカ」のための音楽WoO96の第4曲ですが、とても悲劇的な音楽を切々と語らせています。もともとこのコンビの演奏は端正かつドラスティックな点を基礎にしていますので、淡々と語らせるのは得意ですが、それにしても余計なことを加えずにその悲劇的な面を表現するのは素晴らしいです。原曲のピアノ・ソナタもそういった音楽なので、比較してみても面白いだろうなと思います。

日本のオケはどうもなあとか、小澤だとなあという方、一度お試しあれ、です。ホールは所謂「いいホール」ではないですが(長野県松本文化会館)、夏の信州の、都会に較べればカラッとしている空気が、素晴らしい響きに繋がっているように思います。

信濃の国はあ、十州にぃ〜♪



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
葬送行進曲WoO96-4
交響曲第2番ニ長調作品36
小澤征爾指揮
サイトウ・キネン・オーケストラ
(Phillips UCCP-1047)



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