かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:プッチーニのミサ曲と管弦楽曲

今回のマイ・コレは、プッチーニのグロリア・ミサと管弦楽曲集です。パッパーノ指揮、ロンドン交響楽団他です。

このCDを買いましたのは、合唱団でグロリア・ミサを歌うことになったため、その参考にと。

しかし、このグロリア・ミサは、只者ではありませんでした。

ミサ曲 (プッチーニ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B5%E6%9B%B2_(%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B)

この曲、ウィキではとても簡単な解説になっていますが、いくら卒業制作とは言え、とてもオペラ的なんです。

実際、歌いますと一番難しいのが、歌詞。ラテン語がリズムに必ずしもあっていない部分がありまして、それを何とか宗教曲(しかも、モーツァルトあたりの様式のミサ曲)として詰め込んだという感じの曲なのです。

旋律の一部がオペラに転用されているくらいですから、その美しさと言えば!ですが、しかしついているラテン語は、どうもリズムに乗れない部分がありまして、苦労しました。

しかも、音楽監督のひどいところは、このグロリア・ミサを定期演奏会に乗せようとし、さらに合唱まつり(あるいはコーラルフェストだったか、いずれかであるのは確かです)でも演奏したことです。結果は撃沈・・・・・

実は、このCDそのものがプッチーニの若い作品を中心に収録しているのです(例外が唯一の室内楽として有名な「菊の花」)。しかも、グロリア・ミサはなんと、番号なしなのです。

1880年のパッチーニ音楽院の卒業制作として作曲されたものの、評判がよかったにも関わらず1950年代になるまで出版されなかった作品なのです。その理由は定かではありませんが、私は歌った経験から言いまして、旋律と歌詞のバランスだと思います。

つまりは、若書きであるわけなのです。そういった作品を舞台に載せる場合、やはりそれなりに団員一人一人が研究して、歌いこまないと失敗する恐れがあります。当時、私はライブラリという役員の一人としてそれを指摘しましたが、聞き入れられることはありませんでした。そのことが、失敗へとつながったわけです。

この演奏では、さすがロンドン交響楽団の姉妹団体であるロンドン交響合唱団です。そのあたりを入念に歌いこんでいるのが分かります。テンポも比較的ゆったりとさせ、歌詞と旋律のバランスが崩れないよう、気を配っているのがよくわかります。特に口を動かし単語をはっきりと発音することに集中している点は見事です。

ただ、その後のオペラ作曲家としてのプッチーニの活躍を想起させるに十分な音楽となっています。歌うには大変ですが、聴くほうは美しい旋律のオンパレードで、好きになる人も多い作品かと思います。日本では合唱をやられている人たち以外ではそれほど有名な曲ではありませんが・・・・・

さて、管弦楽曲ですが、プッチーニはいくつか管弦楽曲のみの作品を残していますが、その一つがグロリア・ミサの前に収録されている「交響的前奏曲」です。1882年に作曲された、実は栄えある作品1です。そう、本来ならグロリア・ミサが1になってもおかしくないのに、実際にはその2年後に作曲された「交響的前奏曲」が作品1となっているのです。

楽曲は番号がついているにふさわしく、オペラ的な甘い旋律が支配し、甘美で気品ある音楽となっています。

一方の最後の「菊の花」は、もともとは弦楽四重奏曲として作曲されました。それも1楽章の、です。後に管弦楽曲へ本人が編曲し、今ではどちらもよく演奏されます。というより、プッチーニの楽曲がオケのみで演奏される場合、「交響的前奏曲」か「菊の花」のいずれかになることが多いのです。

なぜ「菊の花」となっているかは、ヨーロッパでは死者に菊の花を手向ける習慣があり、実際この曲も「アオスタ公アメデオ・ディ・サボイアの思い出に」との言葉が添えられています。

アマデオ1世 (スペイン王)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%87%E3%82%AA1%E4%B8%96_(%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%8E%8B)

この国王がなくなったのが1890年。そして、「菊の花」が作曲されたのも1890年。しかも、楽章は一つ。となると、その用途はある程度限られてきます。ネットおよびブックレットではこれ以上調べようがないので、もしご存知の方がいらっしゃればコメントをください。これらの理由から、この曲はスペイン王アマデオ1世を偲んで、ということになります。

其れゆえか、とても静謐で、透明な曲で、演奏もそれが意識されているかのように、アクセントを強くせず淡々と音楽が流れていきます。

国内盤も出ていたはずですが、当時急を要していたので輸入盤です。丁度この一枚でプッチーニの若き日の楽曲に注目が集まっていた時期した。

今では、合唱曲よりも管弦楽曲のほうがポピュラーになりましたが、ミサ曲も旋律が美しいので、ぜひ聴いてほしい曲です。



聴いているCD
ジャコモ・プッチーニ作曲
交響的前奏曲作品1
グロリア・ミサ 作品番号なし
菊の花
ロベルト・アラーニャテノール
トーマス・ハンプソン(バリトン
ロンドン交響合唱団
アントニオ・パッパーノ指揮
ロンドン交響楽団
(EMI 7243 5 57159 2 0)



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