今日は、第3番です。ハ長調という、ナチュラルな調性で書かれています。本来、ハ長調はミサ曲で使われることが多い調性ですね。そこがおもしろいです。これも4楽章形式で、作品2三部作の最後を飾る曲です。
おそらく、この三部作を初めて聴いた人たちはびっくりしたことでしょうね。どれも4楽章形式で、しかも、実は総演奏時間がだんだん長くなっているのですから。
私のCDで調べてみますと、
・第1番:17:43
・第2番:21:52
・第3番:24:23
となります。勿論、全ての演奏がそうであるとは限らないでしょうが、山根弥生子さんのアコーギグがすくない演奏を聴きますと、なんとなくベートーヴェンの意図が見えてくるのは私だけなのでしょうか。このあたりはもう少し勉強が必要かもしれませんね。
第1楽章はリズミカルでパッセージも速く、それでいて緩急がついています。第2楽章では一転、短調になり陰影が高貴な感じを醸し出します。
第3楽章では初めてスケルツォの指示がでます。形式的にはすでに2番の第3楽章でも現れていますが、楽譜に初めて指示を書き入れたのは第3番からです。こんな早い段階の作品からスケルツォが入ることに、交響曲ばかり聴いてきた私にとっては驚きを隠せません。
第4楽章は、第九と同じアレグロ・アッサイ。平明かつ陰影がある高貴さという、ベートーヴェンらしさが全体を支配します。そこに、さらにいろんな遊びごころが感じられて、交響曲を聴くことすら忘れてしまいそうです。実際、ここ2週間ほどベートーヴェンの交響曲は聴いていません。すっかりピアノソナタに夢中です。
かわいらしさすら感じることができ、まじめでかつ茶目っ気のあるベートーヴェンを見ることができます。もしかすると、それが後期の作品へつながっているような気がします。
そう考えますと、musiker氏が言われる「ベートーヴェンは交響曲で実験をし、室内楽で開花させた」という言葉を、私は少しは理解できるようになって来たのかなという気がしています。