かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ジュリーニとウィーン・フィルによるブラームス交響曲全集2

東京の図書館から、4回シリーズで取り上げております、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるブラームス交響曲全集、今回はその第2回、第2集に収録されております、交響曲第3番と「ハイドンの主題による変奏曲」の演奏を取り上げます。

なぜか最近出会うブラームス交響曲全集は、第2集に交響曲第3番が収録されていることが多いのですが、何か理由があるのでしょうか?ウィキで調べる限り、特に理由は見いだせなかったのですが・・・・・

ja.wikipedia.org

実際に第3番は第2番のあとに作曲されていますし、完成もしていますので、成立順としたわけではないですし、どこか腑に落ちない自分がいます。或いは奇数と偶数でまとめたとか?まあ、それもまたいいんですけどね・・・・・

単にジュリーニの芸術を紹介するのであれば番号順に並べても差し支えないと思いますし、また第2集に第4番を持ってきてもいいわけなんですよね~。この辺りが意味不明なのが・・・・・

とはいえ、この第3番の演奏においては、ジュリーニブラームスの指示に比較的従順です。それでいてロマンティシズムもあふれる演奏にしているのは、さすがだと思います。むしろ、第1番でのゆったりしたテンポはその対比だったのかもしれないと思うくらいです。

指示なんてどうでもいいでしょ?指揮者がどう感じるかでしょ?という人もいるかもしれません。勿論指揮者がどう感じるかはとても重要です。しかし一方、楽譜に書いてある指示というのは、作曲者の意思です。作曲者の意思を尊重したうえで、しかし自分はその意思を楽譜からどう読み取り、掬い上げてオーケストラに伝え、演奏という表現へとつなげていくか。これが指揮者の仕事です。

その指揮者の仕事を放り投げているのであれば、私はどんな指揮者に対しても、それがたとえ巨匠と言われる人であっても、批判の対象です。まずしっかり仕事してくださいよ、ということ。そのうえで演奏を判断したいのです。

というか、その仕事ぶりが演奏に現れる職業が指揮者というものですし、もっと広く言えば演奏家全体なんです。指揮者も楽器を使ったり歌わないだけで演奏家の一員です。ですから、楽譜ではこのように指示があるけれど、違う場合なぜ指揮者はそのように演奏させているのかというところに、聴き手の創造が膨らむ部分があるわけです。

このジュリーニのタクトは一見すると普通の演奏に聴こえます。しかし各楽章の指示を見ながら演奏を聴きますと、あれ?第1番と比べてやけに素直だな、と思うわけなのです。第1番ではむしろ指示にあらがうような演奏をしておきながら、しかし第3番では比較的指示に従っているのはなぜだ?と考えるわけです。そしてそこに、ジュリーニが楽譜から掬い上げた解釈というものが存在するわけです。

2曲目の「ハイドンの主題による変奏曲」はもっと指示に素直です。主題が実はハイドンのものではないということはここでは横に置いておきます。それはここでは重要ではないからです。むしろこの第2集に収録されている2曲に共通する解釈は、ブラームスの内面性へのフォーカスです。ベートーヴェンの呪縛が取れたというタイミング、そして恋愛の葛藤。作曲の喜び・・・・・そういったものが混然一体となっているという解釈が見て取れます。

ここで、なるほど、第1番の指示にあらがっていたのは、ジュリーニブラームスに対するメッセージなのだなと気が付くわけなんです。ブラームスさん、いろいろ指示をなさっていますが、本心はこうなのでは?というジュリーニのメッセージ。

だからこそ、第1番に続いて、この第3番と「ハイドンの主題による変奏曲」ではオーケストラを思い切り歌わせています。ポルタメントの指示はないと思いますがしかしさせてもいます。このジュリーニのタクトは、はにかみ屋だったと言われるブラームスの内面を表に出そうという、試みなのだとすれば、とても説得力のある演奏だと言えるので、実はテンポ的には完全に私の好みと一致しないのですが、納得してしまうのです。

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第3番ヘ長調作品90
ハイドンの主題による変奏曲作品56a
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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