かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:パガニーニ 24のカプリース

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は神尾真由子が弾くパガニーニ作曲24のカプリースを収録したアルバムをご紹介します。神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は神尾真由子が弾くパガニーニ作曲24のカプリースを収録したアルバムをご紹介します。


とても有名な作品であるにも関わらず、実はほとんど聞いたことがないというのがこの「24のカプリース」でした。もちろん、全く聞いたことがないというわけではなくて、最終曲の第24番だけはある、という感じです。
パガニーニと言えば、超絶技巧というイメージも強く、確かにこの作品もそんな雰囲気が漂います。

ja.wikipedia.org


ですが、ウィキにある通り、この作品ではあまりパガニーニらしさが出ていないとされています。カプリースとは奇想曲なので、特段もったいぶる必要もないはずなのですが、実際に人が弾く、ということも考慮に入れたのかもしれません。


とはいえ、やはり超絶技巧気味な部分はたくさんあるのですが、それ以上にこの曲で目立つのはじっくり歌わせる部分なんですね。そしてその部分にフォーカスしているのが、この神尾真由子の演奏だと思います。


おそらく、最後の第24番を聴けば驚くかと思います。それほどことさらに超絶技巧の部分を強調していないことに。むしろ歌うことに徹しています。ともすればそれは多少不全感も残るのですが、視点を変えれば、「楽譜通りに超絶技巧で弾けばそれでいいのですか?」という、演奏者神尾真由子からの問いであるようにも思えます。


つまり、神尾真由子にとって、超絶技巧とは単に表現の一つでしかない、ということです。パガニーニだから激しく演奏しなければならないという法はないはずで、神尾真由子という人間のフィルターを通して、ひとつの「歌」として聴いてみると、なんと味わい深い作品ばかり並んでいるんだろうと思います。


こういう発見をさせてくれるのがプロの仕事だなあと思います。演奏者は機械ではなく、表現者です。ですから楽譜というデータをいかに扱うかが重要なわけです。楽譜とはオープンデータなので、個人データを管理するのとは違い私たち一人一人が自由に取り扱うことができます(その代わり著作権料を払う必要がありますが)。その恩恵を存分に受けて、自在に表現したのがこの演奏であろうと思います。
できれば、激しさの中に歌う表現がたくさんあるとよかったかなと思う部分もありますが、それはもしかするとまだ私がこの作品に対する理解が足らないせいなのかもしれません。

 

聴いている音源ニコロ・パガニーニ作曲無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース(奇想曲)作品1神尾真由子(ヴァイオリン)


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