かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:リスト ピアノ・ソナタロ短調他

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。今回はアルフレッド・ブレンデルが弾くリストのピアノ・ソナタ他を収録したアルバムをご紹介します。

ここに収録されている作品のほとんどは、すでに神奈川県立図書館所蔵CDなど、このブログの各コーナーでも紹介したことのある楽曲ばかりです。でもそんな作品を、ブレンデルが弾くとどうなんだろう?という好奇心から借りてきたものです。

図書館のライブラリの魅力は、宝探しのような珍版探しだけではなく、こういったごく普通のアルバムを見つけることでもあるんです。特にリストと言えば超絶技巧練習曲など、華麗な作品が取り上げられることが多いのですが、このブレンデルのアルバムは味わい深いもので、メインがピアノ・ソナタなのですがその次に収録されている「伝説」こそ、このアルバムを名盤足らしめていると私は判断するものです。

enc.piano.or.jp

ほとんどが、じつはリストの晩年の作品たちなのです。ピアノ・ソナタだけは中期の作品。いずれにしても、超絶技巧からは離れ、その高い技巧を深い表現のために使うようになる時代の作品たちばかりです。

enc.piano.or.jp

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2008年に引退したブレンデルですが、ではその引退間近の演奏なのかと言えばそんなことはなくて、1982年とまだ脂が乗っている時代の演奏なんです。とはいえ、彼は1931年の早生まれ。実際には1930年生まれの人と同い年です。この時すでに50代に差し掛かった時。ピアニストとしては超絶技巧の作品を弾くというのにはかなり体力的に厳しい年齢ではあるんです。

そんな中で、取り上げたのがリストの中期から後期にかけての作品である、ということなんです。特にモーツァルトでは激しさだけではなく緩徐楽章をじっくりいいテンポで聴かせてくれるピアニストでもあり、私の好きなピアニストの一人でもあります。特にアップテンポでもしっかり歌うその演奏は、たとえばベートーヴェンでも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ですので、そんなブレンデルがリストのこれらの作品を演奏したとき、一体どんな化学変化がみられるんだろうかと、わくわくして借りたのです。

そして、その期待に答えてくれる演奏なんです。もちろん、この3つの作品にハイテンポな部分など見受けられないのですが、そこを決してべったりと演奏するのではなく、リズムを感じながらもゆったりと歌っていくんです!決して派手ではありませんがいつ聞いても心にしみる演奏です。

特に、「伝説」は二つともすでに県立図書館でかりてきたナクソスのものよりも朴訥に歌う演奏で、特に「波を渡るパオラの聖フランシス」は本当に地味ながらも気持ちがこもる演奏になっており、思わずうなります。こういった演奏に図書館で借りてきたもので出会えるのは本当に幸せ。もちろん近年のハイレゾ録音に比べればかなり電気的な部分を感じますけれど、それでもハイレゾ対応のソニーSRS-HG10は細部までしっかりと再生してくれます。エージングが進んで来たかなーって感じで、16bitであってもますます音が立ってきているように思います。その性能をして、ブレンデルのタッチまで再現しているような感覚すら受けるんです。いやあ、もう幸せ・・・・・

この演奏は、ちょっといろいろイベントを考えようと、画策しています。

 


聴いている音源
フランツ・リスト作曲
ピアノ・ソナタロ短調
伝説
悲しみのゴンドラ
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。