東京の図書館から、4回シリーズで取り上げている、ヘルベルト・ブロムシュッテット指揮サンフランシスコ交響楽団の演奏によるシベリウスの交響曲全集、今回はその第2回。第2集をとりあげます。
第2集では交響曲第2番と、交響詩「タピオラ」、そして「悲しきワルツ」が収録されています。
私はこの全集の中で、この第2集は神集だと思っています。それはなんと言っても、第2番の解釈と演奏にあります。
この演奏の第2番は、一番最初にシベリウスの交響曲として買ったアシュケナージ指揮フィルハーモニア管よりはテンポ的に速い点も散見されるのですが、結構テンポを揺らすことで一つの「歌」を紡ぐことに成功し、感情の高まりが自然な形になっているのも本当に魅力的です。
クルレンツィスの「運命」に足りないのが、この「歌を紡ぐこと」だと思っています。歌わない演奏はどんなに技量が優れていたとしても私の魂には響きません。音楽を楽しんでいることはわかりますが、けれども魂に響いてくるかと言えば、それは違うよなあという感じです。
しかし、このブロムシュテットとサンフランシスコ響の演奏は、しっかりと自分たちの歌となっているため、ビンビン魂に響いてきます。こういう演奏こそプロだと思います。っていうか、今どきはそれくらいはアマチュアですらやっているのですけれど・・・・・
シベリウス最後の作品だと言っていい「タピオラ」も、カラヤン指揮ベルリン・フィルに比肩するだけの解釈とクオリティを持ち、しかもベルリン・フィルのサウンドが持つ硬質さからくるカラヤンの外形的美と勘違いするようなものもないのがまた魅力的。これを外形的美とか言って文明批判するようなら、その人はちょっと精神科へかかった方がいいと思います・・・・・
最後の「悲しきワルツ」も透明感だけではなく生命力も感じる演奏で、シベリウスの作品に対するしっかりとした視点と愛を感じられます。プロならこういった演奏を求めたいですし、カラヤンを批判するならこの全集くらいは聴いてほしいものです。
聴いている音源
ジャン・シベリウス作曲
交響曲第2番ニ長調作品43
交響詩「タピオラ」作品112
悲しいワルツ 作品44
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
サンフランシスコ交響楽団
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