かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:バッハ ヴァイオリン・ソナタ集1

東京の図書館から、今回と次回の2回に渡りまして、小金井市立図書館のライブラリである、バッハのヴァイオリン・ソナタ集を取り上げます。

ソナタと言えばピアノ・ソナタがあまりにも突出して有名すぎて、実は室内楽であるということがどこか忘れられているジャンルだと思います。基本、独奏楽器とピアノによる複数楽章の作品をソナタと呼びますので、ピアノ・ソナタ以外は基本室内楽と言っていいわけです(一方でピアノ・ソナタはピアノだけになるので、独奏曲となります)。

そのバッハのヴァイオリン・ソナタ、実はヴァイオリンとピアノだけ、ではないんです。そこにチェロが入っていたりします。まだソナタというジャンルが確立していない時代ですから、こういうこともあるかと思います。そもそもなぜ独奏楽器とピアノかと言えば、そもそもピアノパートは通奏低音を担当していたからだと言えます。ですからこのバッハのヴァイオリン・ソナタも、通奏低音としてチェロも入っている、と言えます。

もっと言えば、ヴァイオリンは和声担当、鍵盤楽器は和声及び通奏低音担当、チェロは通奏低音担当となっています。その3つが織り成す綾を楽しむのが、バッハのヴァイオリン・ソナタだと言っていいでしょう。

ここに収録されている作品は、ほぼまとまって1717~23年にかけて作曲したとされ、そのため聴いていてもひとまとまりとしての統一性を感じさせます。一方でにたものばかりということもないのが特色でしょう。これがバッハ作品の安定感だともいえます。

そんな作品を演奏しているのが、ヴァイオリンがグリュミオー!そして鍵盤はピアノではなくチェンバロで、チェロという組み合わせ。弦楽器はモダンなのに、鍵盤だけピリオドというトリオになっているのがまた面白い点です。録音は1978年にスイスのラ・ショードフォン。まあ、そんな時代かなという感じです。けれども今その組み合わせで聴いてみますと、これがまた味わい深くていいんですよね~

もちろん、重箱の隅をつつけば、チェンバロではなくピアノ、もしくは弦楽器もピリオドのほうがより学究的であるとは言えます。けれども今のようにむしろコンサートやリサイタルがなかなか開けないという状況に再びなってみると、この急場のような組み合わせにも実に面白みが溢れていることを気づかせてくれます。グリュミオーの歌うヴァイオリンに合わすチェンバロ。むしろ、チェンバロという楽器が相手だからこそ、グリュミオーは存分に歌っているのかもしれません。そこに淡々と合わせるチェロ。弦楽器がモダンだからこその存在感も十分感じます。

そして今回も、Music Center for PCでDSEE HXをきかせて聴いていますが、まるでその場で聴いているかのようなクリアなサウンドにびっくりします。そういえば、昔父がオープンリールで聴いていた音楽が持つ感じにそっくり。CDではむしろその感じがなかったような気がしますが、ハイレゾ相当にしてみるとむしろそういった昔のメディアにあった「温かみ」というものが、はっきりと浮かび上がってくるのも不思議な感覚です。

これは第2集も楽しみです。

 


聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調BWV1014
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番イ長調BWV1015
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番ホ長調BWV1016
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番ハ短調BWV1017
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第5番ヘ短調BWV1018
アルテュールグリュミオー(ヴァイオリン)
クリスティアーヌ・ジャコッテ(チェンバロ
フィリップ・メルムー(チェロ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。