神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、コレッリの作品全集を取り上げていますが、今回はその第3集です。
作品番号順に並んでいますので、第3集は作品3が収録されていることになります。トリオ・ソナタですが再び作品1同様、教会ソナタになります。
とは言え、とても親しみやすい作品が並んでいますし、幾つかはフーガがとても美しくかつ象徴的で、シンプルな構造の中にキラリと光る宝石のような旋律の数々。
どれをとっても無駄がなく、簡素な美がそこに存在するのが、コレッリの作品の素晴らしさではないでしょうか。
この作品3も、そのようにシンプルであるがゆえに美しい作品の一つだと言えるでしょう。その上で、これらの作品はバロックの一つの頂点を示すものです。編成としては通奏低音がチェロだったり、チェンバロだったり、テオルボだったりと、作品ごとに異なります。そのバラエティの豊かさ!
バロックと言えば、通奏低音はチェンバロだとつい思い込んでしまいますが、そうではないんですね。それはあまりにも私たちがバッハの作品だけをバロックのように考えてしまうからであって、実際にはイタリアが先進地域ですし、フランスにも豊潤なバロックの花が咲いたわけです。
その先進地域であるイタリア・バロックの代表選手であるコレッリは、通奏低音は何もチェンバロのみを指すんじゃないよと、まるで表明しているかのようなこれらの作品は、実に美しく、味わい深いものばかりです。
そういえば、我が国でも最近は通奏低音とだけ表記されるようになってきました。通奏低音を担当する楽器が必ずしもチェンバロだけではないからですが、いい傾向だと思います。カッコ書きで担当楽器名を付記するようになりました。とても親切だと思います。
演奏するアカデミア・ビザンチナは、ソリストがアンサンブルすることの妙味を私たちに聴かせてくれます。前期ロマン派のように個性と個性がぶつかるというものではありませんが、それぞれの個性が一つに溶け合って、美しさが構成されているのが素晴らしい!ソリスト一人一人の音、技量がしっかりと表現されていながら、全体としては一つに昇華されています。
プロの演奏を聴く喜びというのは、こういった点もあるでしょう。何かのために誰かが犠牲になるのではなく、ひとりひとりが大切にされ、その上で一つにまとまっているその姿は、私たちの社会の一つの理想象でもありますが、この演奏ではその理想像が見事に現実化されています。それはコレッリの作品そのものも、普遍性を持つという証明にもなっており、これぞ名演と言っていいでしょう。
聴いている音源
アルカンジェロ・コレッリ作曲
2つのヴァイオリン、チェロまたはアルチリュート、およびオルガンの通奏低音のためのトリオ・ソナタ集、作品3
アカデミア・ビザンチナ
カルロ・キアラッパ(ヴァイオリン)
フランコ・アンドリーニ(ヴァイオリン)
マウロ・ヴァッリ(チェロ)
ロマノ・ヴァレンティーニ(オルガン)
パオロ・チェリーチ(テオルボ)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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