かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ハイティンクとロンドン・フィルによるリスト交響詩全集3

東京の図書館から、シリーズで小金井市立図書館のライブラリである、ハイティンク指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団によるリストの交響詩全集をとりあげていますが、今回hその第3集を取り上げます。

有名どころがそろっているのは小金井市立図書館のライブラリの特徴で、いわゆる町の図書館という感じではありますが、そのライブラリが結構充実していることも特徴で、この第3集辺りもそんな一つだと思っています。第3集には「英雄の嘆き」、「ハンガリー」そして「ハムレット」が収録されています。

「英雄の嘆き」というのはよくつけたものだと思いますが、原語ではむしろ「英雄の死」となっているんですね。1830年に起きたフランス7月革命にリストが共感して作曲した作品ですが、その革命において死んでいった人たちを嘆いた作品としてとらえれば、むしろ日本語訳のほうがしっくりくるかもと思います。

実際、ハイティンクロンドン・フィルの演奏はそのあたりの悲しみがたっぷりと表現されています。ただ、日本語訳だと「英雄が嘆く」というようになっているため、わかりにくい部分があるようには思います。

演奏をよく聴きますと、この作品で言う「英雄」とは誰のことなのか?ということを考えざるを得ません。ほぼ間違いなく、革命、あるいはそれ以前に抑圧されて死んでいった人たちすべて、だととらえることができるでしょう。革命で命を落とした人、あるいはそれ以前に投獄されて死を迎えた人・・・・・そのすべての人たちに対する哀悼の意を捧げる音楽だとすれば、しっくりきます。

ですので、もしかするとこの作品は原語通り「英雄の死」とするほうが、より理解しやすいのかもしれません。

一方、「ハンガリー」は明るい作品で、リストの愛国心がよく出た作品だと思います。ただ、現代から俯瞰すれば、国民楽派の音楽の基礎となった部分もよく匂う作品ですが・・・・・そのあたりは、王政がまだスタンダードであったヨーロッパ社会というものに生きた人の心理、ともいえるかもしれません。

最後の「ハムレット」も、リストの複雑な心境を反映した作品だと言えますが、ハイティンクロンドン・フィルの巧みな表現は、その複雑性を一つの芸術としてしっかり表現し、人間の内面性の普遍性を説く見事な演奏になっています。

本当にこのコンビは、饒舌だなあと思います。もちろん、私としてはそれはちょっと違うなというものもありますが、全体としてはさすがプロオケだなと感心するものばかり。やはり、名曲は二つくらい音源を持っておくのが正解だと思います。一つだけだと偏りがでるような気がします。それをハイティンクは教えてくれているように思います。

 


聴いている音源
フランツ・リスト作曲
交響詩第8番「英雄の嘆き」
交響詩第9番「ハンガリー
交響詩第10番「ハムレット
ベルナルト・ハイティンク指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。