東京の図書館から、シリーズで府中市立図書館のライブラリである、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団によるベートーヴェンの交響曲全集をとりあげていますが、今回はその第5集をとりあげます。
第5集には、第7番と第8番が収録されています。第7番と言えばリズムの権化、第8番と言えば、古風な装いかと思いきや革新的な作品と、これもまた個性的な二つであるわけですが、ワルターはどっしりとしたテンポで、この二つに向き合っています。
なので、テンポ的にはそれほど好きな演奏だとは言えません。けれども評価するのは、やはり説得力、です。よく聴けばそこに「歌」があり、その「歌」が説得力の源になっているのです。
だからこそ、二つともテンポとしてはもう幾分速いほうが好みであるにもかかわらず、うん、これいいな!と感じるのです。これぞワルターマジック!
戦前、ワルターが熱狂的に迎えられ、人気だったのもうなづけます。譜読みから掬い取る行間と言ったらいいのでしょうか、深い譜読みを感じます。そこに共感するオケとの、素晴らしき共同作業!
単に遅いテンポで演奏するものならいくらでもあります。特にワルターが生きた時代の指揮者たちなら。しかし、そこにしっかりと「歌」がある演奏は、そうそうないのではないでしょうか。
ワルターの解釈、そして共感するオケによるこの演奏は、じんわりと感動が湧き上がってくるのです。「運命」のようなドラマティックさがない作品なのに、いつの間にか感動している・・・・・そんな演奏、最近少なくなったなあと思います。
これぞ、ワルターの芸術です。当時のコロンビアがステレオで残そうと思ったのも、当然だなあと思います。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第8番ヘ長調作品93
ブルーノ・ワルター指揮
コロンビア交響楽団
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