かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:Beeseltes Ensemble Tokyo特別演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和2(2020)年7月26日に開催された、Beeseltes Ensemble Tokyoの特別演奏会を取り上げます。

通称「べとオケ」というアマチュアオーケストラです。ここでも「べとオケ」と略させていただきますが、ベートーヴェン交響曲を演奏するという目標を掲げたオーケストラです。このブログでも以前コンサートを取り上げています。

で、今回もそのべとオケさんのコンサートなのですが・・・・・実はこの日、仕事が入っていました。なので本来であれば行けないはずだったのですが・・・・・アマチュアオーケストラがこのご時世、ライヴで聴衆を入れてコンサートをするのは本当にハードルが高いことです。ほとんど、いや、すべてのアマオケの定演が中止となっているのに、べとオケさんだけやれるはずもありません。直前になって「ネット配信で行います」という告知が・・・・・

お!それなら休憩時にうまく当たれば見れるじゃん!と。そして当日、なんとか1プロだけは聴けたのでした・・・・・

普通、その程度であれば、エントリ上げるかは迷うところです。ところがです、後日アーカイヴが公開されたのです。

https://www.youtube.com/watch?v=_2EKKhEAq3U

一応、日数制限とかはないみたいなので、ぜひとも皆さんにも見ていただきたいと思っています。私もこのアーカイヴを見てこの原稿を書いています。

演奏されたのは、以下の3曲です。

1.ベートーヴェン オペラ「フィデリオ」序曲
2.R.シュトラウス オーボエ協奏曲
3.ベートーヴェン 交響曲第7番

ちょうど東海道本線でお隣の駅、川崎ではフェスタサマーミューザが基本ネット配信の少数観客でおこなわれていますが、その最中に横浜では、べとオケさんの特別演奏会がこのように完全ネット配信でおこなわれたのは素晴らしいことだと思います。しかも、ベートーヴェン・イヤーに・・・・・

まず、フィデリオ。ソーシャルディスタンスでちょっと戸惑っているのが金管だと思いました。三鷹で聴いたときのあのアグレッシヴな演奏は健在ですが、それでもどこかおっかなびっくりで、音がひっくりかえりそうになっているのが気になりました。これは本来は、指揮者須藤氏が、井上道義氏が東響へ語ったように「安全だから思い切って」と指示したほうがよかったのではないかな、と思います。まあ、そうしなかったと断言はできませんが、とにかくもっと思い切って大丈夫だよと言い続けるほうがいいと思います。以前よりは十分距離が開いているわけですから。

その点、ヴァイオリンなどは本当に生き生きとしていると思いましたが、ベトオケさん特有の「体を思い切って動かした演奏」とは程遠いものだったと思います。それでも、若い人たちなのでいい演奏にはなっているんですが、物足りなさを感じました。その点では、まだこの「フィデリオ」では徐行運転。

続くR.シュトラウスオーボエ協奏曲では、ソリスト登場。高島綾さんは本当に暖かい演奏をするなあと思います。それでいて思い切った演奏!これ、団員にかなり勇気を与えたんじゃないかとおもいます。段々オケの団員の体が動き始めてきているのがわかります。

そして、最後の交響曲第7番。かなりアップテンポのリズム感ある演奏。ここでようやくヴァイオリンはかなり体が動き始めた感じで、最後に行くに従いどんどん動く!それにつれて演奏もヒートアップしていき、べとオケさんの演奏特有の素晴らしい高揚感が得られたのは素晴らしかった!そうそうこうでなくっちゃ!という感じでした。やはり、みんな久しぶりというか、おっかなびっくりだったんだなあと思います。まあ、半年ぶりくらいではそうなってしまうのも仕方ないかもしれませんが・・・・・スポーツでも、だから練習試合だったり紅白戦だったりをしてから、公式戦に出ますからね、けがなどでしばらく試合に出ていないと。そんな感じです。

新型コロナウイルスの厄介な点は、知らぬ間にうつしている、ということだといえます。死亡者も季節性に比べれば少ないのですが、いきなり重症になったり、とにかく厄介です。その「未知のものに対する恐れ」が、ほぼオーボエ協奏曲までは前面に出ていたと思います。それが払しょくされたのが、交響曲第7番だった、と思います。そのきっかけを作ったのは、おそらく唯一のプロと言っていいソリストだったのではないか、と思います。その前と後では、違うオケのように感じますから。体の動きも全然違いますし。

こういう配信をアーカイヴで残すことはとても大切なことだと思います。それは後で史料となるから、です。音だけでは不十分なものが、動画なら補足できます。どれだけ演奏者が恐れていたのかなど、心理的に興味深いことがいくつも見受けられ、それが後世の演奏者たちの道しるべとなるからです。配信まで手作りでおこなったべとオケさんに感謝です。今後も、終息まではしてほしいなと思いますし、また終息しても配信ができればいいなあと思います。できれば、音声はハイレゾになると、べとオケさんの魅力がもっと伝わるかとは思いますが・・・・・それは、5Gがメジャーにならないと難しいかもしれませんね。

 


聴いたコンサート
Beeseltes Ensemble Tokyo 特別演奏会
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
オペラ「フィデリオ」序曲作品72
リヒャルト・シュトラウス作曲
オーボエ協奏曲ニ長調作品144
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第7番イ長調作品92
高島綾(オーボエ
須藤裕也指揮
Beeseltes Ensemble Tokyo

令和2(2020)年7月26日、横浜みなとみらいホール大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。