かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:東京セラフィックオーケストラ 第13回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年2月17日に聴きに行きました、東京セラフィックオーケストラの第13回定期演奏会を取り上げます。

そんなオケの演奏会をどこで知るんですか?とまた質問が来そうですけれども、この演奏会はi amabileで知りました。大体私はそれで検索して、日程が合えば聴きに行くと言う感じです。

プログラムがちょっと面白い構成になっていたことと、ホールが府中の森芸術劇場だったことが、決め手でした。実は府中の森であれば、自転車で行けるので・・・・・

まず、プログラムは以下の通りです。

�@ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
�Aベートーヴェン 交響曲第8番
�Bチャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

かんちゃんさんにしては、ベタな演目を聴きに行ったのですねって、そこかい!いやいや、ベタな演目だって行きますよ、そりゃ。大体アマービレに掲載しているアマオケって、うまいとこが多いですし。で、じっさい今回もそうだったんですが、それよりも、3プロが、チャイコのピアコン第1番だってこと、なんです。

私もアマービレを見た時に、え?って思ったんです。これ、順番間違っているわけじゃないよな、と。だって。現代は交響曲こそクラシックの王道とみなされている風潮があり、協奏曲を定期演奏会のプログラムに入れる場合、前プロになるのが普通で、メインが交響曲です。でも、セラフィックさん、メインにチャイコを持ってきたんです!

此れって実は、古典派までの演奏会の形式なんです。それを、後期ロマン派と古典派と国民楽派が混在する定期演奏会でやっちゃうって言うんですから。いやあ、感心しました!

今回も、仕事の疲れからか、ワーグナーは聴けずじまいで、ベト8がようやく第3楽章をホワイエで聴けるという有様だったのですが、びっくりしたのが、そのスピーカーから流れてくる音だったんです。あれ、ここもやせた音ない・・・・・すごいぞ、これは!

実際、チャイコではやせた音も聴こえてきましたが、でもそれが全く気にならず、むしろ生き生きとした演奏が聴き手を引きこんでいくのが印象的でした。ベト8は第4楽章必ずしも先週取り上げたバレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンとは異なり、特急の如く音楽が繰りひろげられるというのではなく、もう少しどっしりしているんですが、それもまたいいんです。むしろ、ここは笑って欲しいとこなんだけどなあとまるでベートーヴェンが言うがごとくの解釈は、とても楽しいものでした。

そもそも、ベートーヴェンという作曲家は共和主義だとかいろいろ持ち上げられすぎな点があり、「人間ベートーヴェン」がどこかへ行ってしまっているんです。それは「楽聖」という言葉が象徴していますが、確かにベートーヴェンの芸術は高みを目指す素晴らしいものですが、一方で一個人としてのベートーヴェンは、現代的な心理用語でいえば、アダルト・チルドレンアルコール依存症で、回復するために音楽を作曲するのだけれど、でも対人関係がこじれてスリップしてしまうという人です。つまりはとても人間的であるってことなんです。ベートーヴェンの共和主義への共感はその人間性から出発しており、その点をどこか忘れた演奏はおおいと思いますが、セラフィックさんの演奏はその「人間ベートーヴェン」という解釈に満ちあふれ、私は好きです。

一方で、チャイコのピアコン第1番は、第1楽章のテンポが幾分速めなんですが、ソリストだけの部分では十分に歌わせるなど、指揮者とオケとソリストが如何ににアウフヘーベンするかを模索するような演奏だったと思います。いくぶん突っ込んだテンポにピアニストが合わせるのがやっとという印象もあり、もう少し対話したほうがよかったんじゃないかなって思います。その点が残念です。アンコールを聴く限りでは、ピアニストの島田女史は表現力豊かだと思うだけに、もう少し工夫があってもよかったなと思います。

でも、第3楽章はオケもソリストも一体となって一つになっており、最終的にはアウフヘーベンしたのかなって思います。オケもソリストもまだ若いですし、いい経験をしたのかなって思います。

ここで、東京セラフィックさんのサイトをご紹介しましょう。じつはこのオケ、協奏曲を毎回取り上げるという、素晴らしい取り組みをやられています。それはとても素晴らしいことで、今回は少し残念な部分もありましたが、それがオケを成長させるんです。悲観することなど微塵もないと思います。全体的には素晴らしい演奏だったのですから。

http://seraphicorchestra.fc2web.com/

アマオケがこんな立派なサイトも持っている時代になったんですねえ。再来年には第九をやられると言うことで、それも楽しみなんですが、第九に限らず、オケの理念がとてもいいなって思います。それは演奏に滲み出ているように思われます。今回もそれが特に出ていたのがベト8だと思いますし、多摩地域を中心に人間味あふれる演奏活動をされているのも共感できます。この夏はバンクーバーのオケとのコラボレーションでジョン・ウィリアムズの作品を採り上げるようですし、来年はブラームスと、理念通りの活動をされているように思います。是非とも聴衆としてその成長のお手伝いができれば、嬉しいなって思います。それが今回、素晴らしい演奏をきかせていただいた答礼だと、私は思っています。




聴いてきたコンサート
東京セラフィックオーケストラ 第13回定期演奏会
リヒャルト・ワーグナー作曲
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第8番ヘ長調作品93
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
島田彩乃(ピアノ)
横島勝人指揮
東京セラフィックオーケストラ

平成30年2月17日、東京府中、府中の森芸術劇場どりーむホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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