かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:サティ ピアノ・ソロ作品全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでサティのピアノ・ソロ作品全集をとりあげていますが、今回はその第4集を取り上げます。

この第4集では、様々なジャンルのものが集まっていますが、サティの音楽がほかと全く特別なわけではない、ということがはっきり出ている作品が多いかなという気がします。

サティが大衆のための音楽を自らの芸術としたことはずっと語ってきていますが、その表現手法は実に古典的でもあります。例えば「古い金貨と古い鎧」の第3曲「キンブリ族の敗退(悪夢)」ではなんとフランス軍の軍楽隊の音楽を使ったりしています。これは比喩ではないかと思います。

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フランスの歴史を紐解くとき、この使い方はかなり意味深です。そう考えますと、サティという作曲家は決して勇壮な作品を書くわけではないんですが、かなり批判精神を持った人だったことが良くわかります。

もちろん、「スポーツと気晴らし」のような作品もありますが、面白い題名には隠された比喩があり、その比喩は何だろうと考えながら聴くのもまた楽しかったりします。よく知られている作品も収録されている第4集ですが、とにかく聴いていて飽きないんです。こんなにサティの作品って面白かったんだなあっておもいます。

ヴォリュームが多すぎて、個々の作品を解説することは避けますが、むしろとにかく耳を傾けてみると面白いと思います。知識があればなおいいですが、とにかく耳を傾けてみる事。そうすれば自然と作品のほうから語り掛けてくるように思うのです。

そんな「語り部」に、ティヴォーデは徹しているような気がします。印象派というよりはむしろ象徴主義に近いこれらの作品はわかりやすい反面、さらに奥深いものが秘められていると思いますが、それを語りつくそうとする演奏は好印象です。こっちも何を語ろうとしているのかに集中するので、結果的にその音楽に集中することになります。

もしかすると、プロの評論家も、サティの真の魅力を語っていないのかもなあと思うのですが、いかがでしょうか?私が知らないだけなら、いいのですが。特にこのほとんどが気まぐれと言いつつも、三楽章形式をとっていることには、私は明確な意味があると思っているのですが・・・・・さて。

 


聴いている音源
エリック・サティ作曲
犬のためのぶよぶよした前奏曲(1912)
(犬のための)本当にぶよぶよした前奏曲(1912)
自動記述法(1913)
ひからびた胎児(1913)
太った木の人形のスケッチとからかい(1913)
あらゆる意味にでっちあげられた数章(1913)
古い金貨と古い鎧(1913)
スポーツと気晴らし(1914)
世紀ごとの時間と瞬間的な時間(1914)
いやな気取り屋の3つのワルツ(1914)
最後から2番目の思想(1915)
官僚的なソナティナ(1917)
第5巻:劇上演用音楽
『星たちの息子』への3つの前奏曲(1892)
ジャン=イヴ・ティボーデ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。