かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:アシュケナージのベートーヴェンピアノ・ソナタ全集2

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリを今回はご紹介します。9回シリーズでお届けするアシュケナージが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の今回は第2回目です。

その第2集は、第4番~第6番までが収録されています。一応、作品番号がひとまとまりになるように収録しているみたいですね。第1集は作品2の3曲でしたし、この第2集も作品10が「2」までは入っています。できれば作品10全曲が入っていればなおよかったとは思いますが、おそらくそもそもレコード時代の限界だったのでしょう。

とはいえ、ベートーヴェンの初期作品であるにもかかわらず、その幻想的な世界、ロマンティックさは存分に表れている作品7などはたっぷりとした抒情で弾くんですよねえ、アシュケナージ。この第2集でも、ほかのピアニストだったら早いパッセージにするところをゆったり目にしてみたり、わが道を行くという姿勢を崩していません。さすがアシュケナージwww

特に第5番と第6番の、いわゆる作品10で顕著です。特に第6番第1楽章第1主題は、ゆったりなのにどこかスキップもしているという、味わい深い演奏です。初期の作品にも十分奥行きの広さがあることを証明しており、もう膝を叩くしかありません。

構成を意識しながらも、歌う演奏は実に心地よい!こういういい意味での「裏切り」こそ、アシュケナージの真骨頂だなあと思います。その意味では、同じことをオケ作品で目指したのだとすれば、いまいち私自身がアシュケナージのタクトに共感しないことが多いのは納得だなあと思います。やはり、統率の取れた演奏をずっと聞き続けているからです。しかし、アシュケナージの目指した芸術が、統率ではないとしたら?ああ、納得!って思うわけなんです。

そのバランスが最大限発揮された演奏が、シベリウス交響曲第2番(アシュケナージ指揮フィルハーモニア管)だったとすれば、私が共感するまで時間がかかるのも当然だな、と思います。アシュケナージの芸術は、最後まであきらめないほうがよさそうです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調作品7
ピアノ・ソナタ第5番ハ短調作品10-1
ピアノ・ソナタ第6番ヘ長調作品10-2
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

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