かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:湯浅譲二 管弦楽作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は湯浅譲二管弦楽作品を収録したアルバムをご紹介します。

湯浅譲二・・・・・その名を聞いたことあるようなないような、という人が多いのではないかと思います。日本の現代音楽の作曲家で、なんと!まだご存命なのです。

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あまりメジャーな作品が少ないので、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。では、現代日本の「現代音楽」とはどのようなものか?と興味を持ち、借りてきたのがこのアルバムでした。

私も、高校の時教科書などではその名を見ていましたが、ではどんな作品なのかとなると、音楽鑑賞の時間で聴いた記憶ってないんです。ですから、百聞は一見に如かず、というわけで、聴いてみましょ~

借りてきたときのオーディオチェック時に聴いたときは、まだスピーカーがアキバで買ってきた1000円のものでしたから、とりあえずうん、それほどおどろおどろしくはないなという印象しかなかったんですが、今改めてソニーのSRS-HG10で聴きますと、なんと豊潤なサウンドが広がることか!

不思議と和声がいやらしくなく、むしろ美しい。不協和音が鳴り響いているにも関わらず、本当に美しいのです。特にそれを感じるのが、「コズミック・ソリテュード」。ヘルダーリンの詩を使った作品ですが、ヘルダーリンの狂気が、しかし一つ引いた、冷静な視点から描かれているのです。これは素晴らしい!

どの曲も、本当に現代音楽の悪い印象のおどろおどろしさが、むしろとても不思議な世界として広がっており、ふと耳を傾けてしまうんです。演奏するのはオケはN響と東響、そして日フィル。指揮するのもそれぞれ当代を代表するような指揮者ぞろいです。これだけのタレントがそろい、いいスピーカーで現代音楽を聴くと、今までとはまるで印象が変わるから不思議です。

そんな経験を、このところずっとしています。だからこそ、たとえばウィーン・フィルだったら新古典主義音楽だったり、退廃音楽あたりを持ってきても面白かったと思うんですが・・・・・まあ、湯浅の作品すら顧みられない現状では、難しいかもしれません。

今回聴きなおして、私は湯浅を「天才」と呼びたいと思います。なぜなら、彼が作曲家を志したのは、「これくらいなら自分でもできる」という自信だったわけですから。え、これくらいって・・・・・聴いてみてください、各作品を。決してそんな簡単ではないですよ。でも「これくらいなら私にだってかける」って言っちゃうんですもん。そもそも頭はいいんでしょうが、いいだけで説明つくのかって思います。

私自身、これだけのタレントの作品を今まで放っておいたのはたいへん申し訳ない気持ちです。今後できるだけ、取り上げることができるといいなあと思います。

 


聴いている音源
湯浅譲二作曲
①オーケストラの時の時
②コズミック・ソリテュード~ヘルダーリン「人生の半ば」によるバリトン、合唱と管弦楽のための
③クロノプラスティク
④内触覚的宇宙Ⅴ
⑤始源への眼差Ⅲ
宮本益光(バリトン、②)
東京混声合唱団(②)
ミヒャエル・ギーレン指揮
NHK交響楽団(①)
飯森範親指揮
東京交響楽団(②)
準・メルクル指揮
NHK交響楽団(③)
飯守泰次郎指揮
日本フィルハーモニー交響楽団(④・⑤)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。