かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:マスネ 管弦楽曲集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回で、マスネの管弦楽曲を収録したアルバムを取り上げます。

マスネと言えば、我が国では「タイスの瞑想曲」で有名な人ですが、オペラが好きな人たちはそのオペラ作品で有名な人だと思います。それゆえに、実は優れた管弦楽作品を書いた人であることはあまり知られていません。

ただ、その管弦楽作品があまり知られていない一つの原因に、実はマスネがライトモティーフをオペラで用いているということがあるように思います。なぜなら、彼の生存中に、普仏戦争が起こっており、彼はそれに従軍し、その後音楽院などで教鞭をとっているからです。

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ワーグナーの作品は国境を越えて多くの作曲家に影響を与えましたが、マスネもそんな一人でした。けれども実際はかなり己の個性に吸収され、フランス人としてのエスプリへと昇華されているのですが・・・・・

私がなんでそんなことを問題にしているかと言えば、普仏戦争とは、フランスがドイツに負けた戦争であり、その後成立した第3共和政は当初はプロイセンの後ろ盾を得ていたから、です。

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まあ、そんなことで評価を高くしたり低くしたりすることなんでくだらないんですが、特にオペラ好きな人たちって、ナショナリズムにはまる人多いんですよね・・・・・パトリオティストである私からすれば、ちょっと異質なので・・・・・どうも。

これは2で言及しますけれど、マスネは愛国者だったと私は思っています。ただあからさまにせず、楽しい音楽をひたすら愚直に芸術作品として書いていっただけなんですけどね。

そんな作品に、管弦楽組曲集があります。この第1集には、ウィキには説明のない第3番と第6番が収録されています。第3番はマクベスがその根底にある作品で、第6番はお祭りを表現したような作品。どちらも交響詩かと思うような自由な発想から出るもので、幻想的かつドラマティック。

マスネの管弦楽曲を普段聴いていない人にうってつけのアルバムだと思います。指揮するはガーディナー。オケはモンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団。マスネにゆかりのあるオケですが、そのオケを存分に歌わすガーディナー。というか、私からしますと、やはりガーディナーは古典派以降の作品こそ得意なんだなって思います。

古典派以前だとどこか構えてしまう部分もあるガーディナーが、ロマン派だとこれだけ饒舌なのか!と驚きます。もちろんそれはオケにも理由があるとは思いますが、そのオケを雄弁に語らせるのはさすがというべきなのか、それともこれだけ饒舌なオケだから歌わせるのか。ちょっと判断がつかないですね。この人、自分の個性を出すのか出さないのか、よくわからないなあ、と。

まあ、録音が1978年と、若いころなんですね。青いころもあるか、と納得するしかないんだろうなあって思います。とはいえ、生命力に富んだ素晴らしい演奏は、素直に楽しめる名盤です。

 


聴いている音源
ジュール・マスネ作曲
劇的風景~オーケストラ組曲第3番~
おとぎの国の風景~オーケストラ組曲第6番~
聖母の永眠~オラトリオ「聖母」第4場の前奏曲
ジョン・エリオット・ガーディナー作曲
モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。