かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ナポリ・マンドリン・オーケストラによるカンツォーネ

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。今回はナポリマンドリン・オーケストラによるカンツォーネ集を取り上げます。

カンツォーネがいきなりなんで出てくるの?と思う読者の方も多いかと思うんですが、かつては三大テノールがよく歌っていたものです。ですからクラシックファンである私も特段違和感はないんです。ただ、若い時はクラシック音楽ではないので遠ざけていたのは事実です。

年齢を重ねるにつれて、カンツォーネの魅力がわかってくるようになったんです。そのせいもあり、借りてきたのがこの音源です。

しかし、借りてきたのは単にカンツォーネだからではありません。その演奏がオーケストラではなく、マンドリンだったから、なんです。

カンツォーネって、オーケストラで演奏されることが、我が国では多いような気がします。それは三大テノールの功績であると当時に罪でもあります。なぜなら、カンツォーネとはそもそも、イタリア語では単なる「歌」なのですから。それが転じて我が国ではそもそもはナポリ地方の歌を指す言葉となりました。

ja.wikipedia.org

そのナポリ地方の代表的楽器が、マンドリンなのです。その復興のために結成されたのが、ナポリマンドリン・オーケストラなのです。

www.harmony-fields.com

そう、そもそもは、カンツォーネマンドリンで演奏されるもの、だったんです。それゆえに低くみられることもあったため、三大テノールは自らの音楽としてオーケストラでの演奏で歌ったのですね。そういう経緯を知らないと、「やっぱりカンツォーネはオケじゃないと!」というある意味偏狭な考えに陥ります。

もちろん、オケでの演奏も素晴らしいのですが、それだとマンドリンで演奏されるその「味」というものを賞味できなくなる可能性があるわけです。ただ、私は幸せなのは、実は中央大学には音楽研究会の中にマンドリン・オーケストラがあるってことなんです。しかも、学生時代、その団員が同じクラスで、卒業後も交友が続いたという点もあります。

中大オケと一緒で、卒業後も学生と演奏する機会があるようで、渋谷で会った時にマンドリンのメンテナンスだと言っていたのを昨日のように思い出します。なのでマンドリンが低い楽器だとかいう感覚はなかったです。ただ、マンドリンの音には当時全く興味がなく・・・・・ひたすらオーケストラでした。それは今となっては大変申し訳なかったなあって思います。特に団員の一人は女性だっただけに・・・・・

さて、このアルバムに話を戻しますと、とても音が素朴なのに、聴いていて全く飽きないんです!生命の喜びにあふれている演奏で、ひたすら明るいんです。そして歌ってる!いや、歌付きなんですけれど、マンドリンも歌っているんですね。この辺りはさすがイタリアだなあって思いますけれど、一方でそれはマンドリンだからともいえます。弦楽器でなおかつつま弾く楽器であるから、です。

ハイドンチェンバロ協奏曲をハープで弾くというアルバムの時にも言及しましたが、つま弾くということは、その分「ため」ができるので、歌わざるを得ないんですね。ピアノのようにタッタカタッタカ行くわけにはいかないわけです。それゆえに、歌との相性がばっちし!

また、歌うソリストのカタパーノも、決して張り上げないのもまた好印象です。例えば、「帰れソレントへ」。これ、パヴァロッティの影響が強くて、フレーズの最後をどうしても張り上げるのに慣れてしまうとそれがないと物足りないものなんですが、この演奏はそうではなくてとつとつと歌っているのがとてもいいんです。むしろ哀愁はそっちのほうが出ているとすら思える名演です。

また、最後の「ヴォラーレ」。我が国はすっかり某ビールメーカーのCMで思いっきり戦闘的な音楽で知られる作品で、それが普通だと思わされている部分もあるかと思いますけれど、実はもっと素朴。ひたすら楽しい!これがイタリアの「歌」なんだなあって思います。特にナポリの、あの照りつく太陽のような明るさなんだなあって思います。こういう演奏ができるイタリアは幸せな国だって思います。

 


聴いている音源
ナポリ 愛のうた~永遠のカンツォーネ名曲集~
①オ・ソレ・ミオ
②花のささやき
③夢見る想い
④フニクリ・フニクラ
⑤帰れ、ソレントへ
⑥砂に消えた涙
⑦遥かなるサンタ・ルチア
⑧ほほにかかる涙
⑨マンマ
⑩マレキアーレ
⑪ケ・セラ
ナポリのセレナーデ
⑬マリア・マリ
ヴォラーレ
ルチアーノ・カタパーノ(歌)
マウロ・サウイランテ、レオナルド・マッサ指揮
ナポリマンドリン・オーケストラ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます