かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:クルレンツィス/ムジカ・エテルナの「悲愴」

今月のお買いもの、令和元年8月に購入したものをご紹介しています。今回はe-onkyoネットショップにて購入しました、クルレンツィス指揮ムジカ・エテルナが演奏するチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」を取り上げます。

この演奏、方々で熱狂的なレビューにあふれているため、実は私としては避けてきた演奏なんです。このコンビの演奏、実はFBにおけるあるFBFによりyoutubeをご紹介いただいたのですが、その演奏があまりにも強迫的すぎたためなんです。

この演奏のどこに魂があるのか、アカデミズムと精神との両立はなされているか。それを考えたとき、少なくともCD購入は待とうと考えたのです。もちろん、来日公演も行っていません。ただ、ライブは行ってもよかったかもなあと今にしてみれば思います。

実はCDを躊躇したということは、これはハイレゾじゃないとその魅力がわからないんじゃないかと考えたためなんです。いろんなレヴューを見るたびに、その思いは強くなりました。CDだと記録されているデータが少なすぎる・・・・・そう思いました。実際にライヴを聴きに行った人の話を聞くたびに、その判断は間違っていないと思っていました。

そして、今回実際に音源を聴いてみて、それは確信へと変わりました。それでも、なかなかこの演奏がいいとは思えなかったのです。特に共感できないのが、第4楽章。私はチャイコフスキーの慟哭の楽章だと思っていますが、かといってこの楽章、男泣きになくって楽章ではないと思っているんです。なぜなら、チャイコフスキーLGBTだったと伝えられているからです。

チャイコフスキーの同性愛の部分がクローズアップされることが多いのですが、かれは本当に「同性愛者」だったのでしょうか?もしかするとトランスジェンダーでは?と私は思うんです。男が男を愛するという側面もあったかもしれませんが、隠された性としての女性の部分で男性を愛したという部分もあったのではないか?と、私はチャイコフスキーの作品を聴くたびに思うんです。

これ、詳細な史料がないので何とも言えないんですが、チャイコフスキーの作品が持つ「中性」な美しさを、男性的に切ってしまっていないかな?って思うんです。ですので、男性的な美しさが好きな人にとっては、熱狂する演奏だと思うんですが、むしろトランスジェンダーではないものの、女性的な感性も持つ私としては、その慟哭の様子はどうしても共感できないんです。

それ以外の、第1楽章~第3楽章まではおおむね共感できる素晴らしい演奏です。普通の演奏でpp~ffまでがダイナミックに表現されているのも、ムジカ・エテルナというソリスト集団であれば当然のこととはいえ素晴らしいですし。けれども私はそれならダスビの演奏のほうがいいなあと思う瞬間も、いくつもあるんです。これはないんだよなあ、という。

それも、ある程度音量を上げてやっと良さがわかったという代物です。え、音量は上げるのは普通なんじゃないの?って思うかもしれません。けれども東京の住宅地で、かつアパート暮らしの私としては、そうそう音量を上げるわけにはいかないんです。なのでなかなか音量を上げることは難しく、ある程度のところで妥協せざるをえません。そんな状況でも自分の魂を揺さぶる演奏こそ私がお勧めしたい演奏なんです。それなら音量を上げれば必然的にいい演奏になることが多いので。

ところが、このクルレンツィス/ムジカ・エテルナの演奏は、ある程度いいスピーカーで、かつ音量をかなり上げてあげないと、その情熱の「意味」がわからないという代物なんです。これはスマホでも一緒で、実はイヤホンが片方断線して、finalのE3000からオーディオ・テクニカのCKR70に替えて、ようやくこの演奏の良さにたどり着いたという感じです。かなり再生でいい思いをするには機器を選ぶ演奏だなあって思います。

で、レヴューで多いのは、この演奏のすばらしさをわからないやつは・・・・・という、ある種の排他的なレヴューなんですよね。本来、音源を聴いてというケースでは、オーディオ機器に左右されるってことがわかっていない証左だと思います。私だってPCで聴いていても、そのスピーカーが比較的いいソニーのSRS-HG10であっても、音量を上げてあげないとわからないって演奏です。むしろこの演奏で感動できるっていうことは、かなり限定的な条件がそろっている、恵まれた人たちなのではないかという気がします。

庶民など、なかなか恵まれていない人がこの演奏のすばらしさにたどり着くためには、少なくとも音源としてはハイレゾが最低条件だろうと思います。そのうえでコンポ構築していく人じゃないと、なかなか無理だろうなと思います。その点ではハイレゾでこの演奏は持った方がいいと方がいいという私の方針は、間違っていなかったといえるでしょう。そういったことがわからないレヴューはできれば避けていただけると嬉しいかなって思いますし、また中性的な美しさを求める人なら、避けたほうがいい音源でもあると思います。とてもいい演奏ではありますが、私ならハイレゾで出ているなら、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラのほうを推します。

 


聴いているハイレゾ
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第6番ロ短調作品74
テオドール・クルレンツィス指揮
ムジカ・エテルナ
(Sony Classical *cl* 88985404352)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。