かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:西本智実が振るチャイ5

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回は西本智実が振るチャイコフスキー交響曲第5番を収録したアルバムをご紹介します。

もう、チャイ5の音源など、私はいくつ持っているだろうかって感じです。それほどチャイコフスキー交響曲の中では好きな作品ですが、それを新進気鋭の女性指揮者である西本女史が振ったものはどんなものなんだろうかという興味から借りてきています。

一時期、珍しい女性指揮者としてメディアへの露出も多かった方ですが、今ではロシアや日本で地道に活躍する指揮者です。日本ではアマチュアを振ることが多いような気もします。

www.tomomi-n.com

こう公式HPを見てみると、かなりヨーロッパ全域でも活躍しつつあるなあと思いますが、最も重要なのはその演奏であるわけで、私たちは意外にもCMとかでしか彼女の振る演奏を聴かないんですよねえ。

なので、実際にその演奏を聴いてみようというのが、今回の趣旨なのです。

で、演奏としては、不思議な気がします。かなり凡庸な解釈の中に、秘められた情熱って感じです。かなーりオケにレガートさせるなあ、と。もちろんそれが歌う場面なら本当に素晴らしいんですが、私としてはもっと動きが欲しい!って思う部分でもレガートなので、辛口の批評が喉まで上がってきます・・・・・

けれども、ダイナミックさが要求されるところでは、クルレンツィスか!と思うくらい、いや多分クルレンツィス以上にダイナミックでかつ強迫的ではないのには脱帽してしまいます。ここが彼女が振る演奏の魅力かもしれないなと思います。

クルレンツィスの指揮の欠点って、弦のアタックが強すぎるあまり、雑に、あるいは強迫的に聴こえてしまう点なのですが、この西本女史はそんなことをさせません。あくまでも強く硬質なんですが美しいffなんです。その点はほんと素晴らしいって思います。

なので、いやそこはねえって思う部分も多々ある割には、割と受け入れられる演奏なんです。だから不思議。女性ならではの感性なのかわかりませんが・・・・・・

こういった演奏はある意味初めてかもしれません。多分男性指揮者の演奏だったらバッサリ切っています、私。めったに切らない私ですけれどwでも、西本女史だと、不思議とそうバッサリと切れないんです。別に女性だからと言って配慮しているわけではなく、そんな色眼鏡なしに、バッサリ切れないんです、この演奏。

おそらく、しっかりとした繊細さが存在するから、なんだと思います。チャイ5は、チャイコフスキーが自殺未遂ののち、到達した一つの頂点です。力強さと繊細さが同居する作品で、だからこそいじめられっ子だった私の魂に、高校時代すっと入ってきたんだと思います。それからずっと好んで聴き続けているこの第5番。繊細さが私好みだからこそ、バッサリ切れないんだと思います。

泣く金管も、私の魂に響いてきます。だからこそ、どうしても切れないんだと思います。そこ嫌い!って部分もある演奏なのに・・・・・

できれば、彼女の演奏もハイレゾで聴く必要があるかも、と思っています。

 


聴いている音源
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第5番ホ短調作品64
西本智実指揮
ロシア国立交響楽団

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