かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ヴィヴァルディ リコーダー協奏曲と調和の霊感2

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲と「調和の霊感」がセットになったアルバムをご紹介していますが、今回はその2枚めです。

2枚めは「調和の霊感」第4番から第12番までが収録されています。あら、こんなところにも聖なる数字「12」が・・・・・世俗曲なのですけどねえ・・・・・と、これはちょっと触れないでおきましょう。

とはいえ、ヴィヴァルディは赤毛の司祭と言われた人でもあります。宗教と全く無関係というわけではないですし、実際宗教音楽も書いているのは、このブログでも取り上げたことがあったかと思います(神奈川県立図書館所蔵CD)。そんなヴィヴァルディなので、当然「12」という数字は意識していないはずがありません。しかも、時代はバロックです。多くの作曲家たちが、12にまつわる組で、協奏曲を作曲していた時代です。

そもそも、ヴィヴァルディが生きたバロックという時代は、教会のちからが弱まっていたとはいえ、音楽が教会の儀式を彩っていた時代です。ドイツのライプツィヒでは、自治の代表である市参事の交代式で、世俗カンタータだけではなく教会カンタータも、バッハが書いているという時代です。そんな時代に、音楽が教会と無関係であるということはなかなか難しいのです。バッハの時代でようやく、協奏曲がコンサートピースになるという段階なのです。

ですから、ヴィヴァルディも自ずと、キリスト教にまつわる数字を使うということはごく自然なことでした。特にヴィヴァルディの場合、演奏が僧院の学生だったりしましたし・・・・・

この調和の霊感も、そんな中で作曲された作品の一つだと言えるでしょう。この作品がアマチュア向けだなんて、信じられないですよね、現代では。けれどもバロックという「職人集団の時代」では、特段珍しいことではないということは、念頭に置いていいのではと思います。

演奏はホグウッド指揮のエンシェント室内管ですが、各楽器にソリストを揃え、バロック式の編成となっています。意外と見逃されがちなんですけどね、こういう点は。で、じつはこれ、現代ではあのムジカ・エテルナが受け継いでいるスタイルなんです。つまり、ムジカ・エテルナとは、クルレンツィスの音楽性に共鳴したソリストたちによって組織されたオケであり、そのスタイルはモダンでありながらバロックである、ということなのです。一見すれば革命的と見えますが、古楽を聴き慣れればなんてことはない、古楽のスタイルでロマン派以降も演奏してしまおうというだけのことなのです。ただ、その音楽は実に今までのものとは多少異なるので、革命的だとか言われるのでしょうが、じつはとても保守的な編成なのです。

ホグウッドのエンシェントがもしもモダンだったら、極端に言えばムジカ・エテルナとおなじになるのです。ですから私は、クルレンツィスはちっとも革命的ではない、それ以前の先覚者たちの果実を受け取っているだけだ、というわけなのです。ただ、それをモダンオケの演奏者たちや指揮者がやってこなかっただけ、なんです。発想なんですよ、クルレンツィスのすごい点は。演奏は・・・・・うーん、ドイツ・カンマーフィルあたりと比べると本当に革命的なんだろうかって思います。

当時、このホグウッドとエンシェントこそ、革命的だと言われたのです。彼らとすれば、バロックのピリオドを復刻しようとしただけ、なんですけどね。このホグウッドとエンシェントの演奏は、単なる学究的というのではなく、常に演奏者であり、表現者でいるんです。確かに使っている楽器はピリオドですが、その表現はモダン同様に生命の源をかんじる生き生きとしたものです。ノリノリのその演奏は喜びに満ち、常に抜けるような青空が存在します。まるで絵画でも有り、かといって無機質でもなく、ぬくもりと親しみがあり、私達を感動へといざないます。

そして何よりも、カンタービレ!そう、歌っています。これ、本当に素晴らしいですし重要だって思います。ホグウッドの革新性とは、単にピリオドで演奏するということではなく、その後の古楽演奏カンタービレしよう!という路線を決定づけたことであると、私は思います。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
協奏曲集「調和の幻想」作品3
協奏曲第4番ホ短調RV550(4つのヴァイオリンのための)
協奏曲第5番イ長調RV519(2つのヴァイオリンのための)
協奏曲第6番イ短調RV356(ソロ・ヴァイオリンのための)
協奏曲第7番ヘ長調RV567(4つのヴァイオリンとチェロのための)
協奏曲第8番イ短調RV522(2つのヴァイオリンのための)
協奏曲第9番ニ長調RV230(ソロ・ヴァイオリンのための)
協奏曲第10番ロ短調RV580(4つのヴァイオリンとチェロのための)
協奏曲第11番ニ短調RV565(2つのヴァイオリンとチェロのための)
協奏曲第12番ホ長調RV265(ソロ・ヴァイオリンのための)
ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン)
モニカ・ハジェット(ヴァイオリン)
キャサリンマッキントッシュヴィイオリン)
エリザベス・ウィルコック(ヴァイオリン)
スーザン・シェッパード(チェロ)
クリストファー・ホグウッド指揮、通奏低音
エンシェント室内管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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