かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:小平市民オーケストラ第33回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は6月10日に聴きに行きました、小平市民オーケストラの第33回定期演奏会を取り上げます。

小平市民オーケストラは、平成2年に設立されたアマチュアオケですが、そもそもがフランチャイズルネこだいらと設立当時から意識すると言う、かなりヨーロッパのオケに近いスタイルを持ったオケだと言えます。

小平市民オーケストラ プロフィール
https://kodaira-co.org/

ですので、実はアマオケで、市民オケなのに、うまいんです!やせた音はほとんどないですし。いや、ないと言ってしまっていいでしょう。その上で、ルネこだいらを「フランチャイズ」と言っているだけあって、音作りもいいなあって思います。

それが演奏にものすごくプラスに働いているように思います。今回のプログラムは以下の通りなのですが・・・・・

�@シベリウス フィンランディア
�Aシベリウス カレリア序曲・組曲
�Bシベリウス 交響曲第2番

と、ベタなカップリングではありますが、オール・シベリウス・プログラム。これは気合入っているなと思ったのです。ですから、わたし自身は小平市民ではないにも関わらず、聴きに行こうと思ったのです。それと、チラシを小金井市民オーケストラの定期演奏会でもらったと言うのもありました。

恐らくですが、小金井と小平は相互に団員をやりくりしています。ですから、小金井があまりにもよかったため、じゃあ、小平も聴きに行こうかなって思ったのも、行くきっかけでした。

今、プログラムを見てびっくりするのは、小平は「トラ」の表記がないんです。つまり、全員自前ってことです。これは宮前フィルと実は同じで、すごいことです。どこの市民オケもトラが入ることが前提で練習するんですが(勿論、それだけ集まらないからですが)、ところが小平はトラが一人もいないことになっているんです。

演奏を反芻すると、納得する部分がいくつもあります。金管アインザッツの素晴らしさや、全体的なアンサンブルの素晴らしさ、市民オケには不似合いなくらいな、プロのような音。だからこそ、正直言えば、1曲目のフィンランディアから、鳥肌立っていました。

フィンランディアは、私も大好きな曲の一つで、特に私自身、幼少期に親からの抑圧を受けて育ち、小学校〜中学校はいじめられて過ごしたので、フィンランディアには私自身を投影してしまうんです。

フィンランディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2

ですから、オケの気合いと生命力あふれる演奏には、もう感動してしまいました。特に金管が素晴らしい!確かに、音の出だしで不安定になる部分も散見されましたが、安定すれば力強く生命力あふれる音が鳴り響くのは素晴らしい!まるで、シベリウスが乗り移ったかのようです。恐らく、金管に限らず、今回のすべての作品に対する、団員の強い共感が投影されているんだろうなと思います。その意味では、あー、仲間だ!って思いました。

金管の方に、合唱屋からアドヴァイスをするとすれば、大変なのは低音部や、高音部をpもしくはppで鳴らすことだと思います。そんな時は、いつもよりも息を吸うタイミングを早めにして、ゆっくり時間をかけて吸い、音の出だしでは比較的多めに息を吐き、後は徐々に少なくしていくとうまくいきます。後は姿勢。正しい姿勢を、音が出にくいところでこそ、保つようにしてみてください。きっとそれだけで小平市民オケさんなら、プロ同等の音が出る筈です!

2曲目のの「カレリア」は、序曲は普段あまり聴かない作品ですが、実は音楽史的には一つの作品としてシベリウスは作曲しています。それを尊重するという意味合いがあったのだと思います。こういう視点、素晴らしいです。

カレリア (シベリウス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9)

ですから、始め聴きますと、あれ?普段聴いているのと違うぞ?って思う訳なんですが、元々劇音楽の序曲であり、本編の音楽が現在は3つの組曲となっているということを知れば、納得なんです。扇情的な作品ではなくむしろ愛国的抒情作品ですが、生命力あふれるのは変らず、団員の皆さんの共感の嵐が見て取れました。

そして、休憩後の、メインの交響曲第2番。オオサカシオンの音楽監督にも就任する指揮者の西村さんの解釈がいいのか、私が持っている音源のどれにも当てはまらない、素晴らしい演奏だったと思います。それほど鋭い音を要求するわけでもなく、むしろテンポをいい感じで揺らすことで感情の起伏を表わすという、王道のような指揮をされているのが素晴らしい!それに応えるオケをほんとうに誉めたいと思います。もう、市民オケを超えています。

確か、宮前フィルも当然と言うか、この2番は演奏していますが、その時、わたしは今回ほどは感動していなかったと思います。今回特に第3楽章から第4楽章に掛けては興奮すらし、第4楽章に入った途端、泣いていました。

シベ2は結構難しい作品で、繊細なシベリウスの様々な感情が渦巻いて一つの芸術として昇華しているものなので、どこに視座を置くかで全く変わってしまう作品でもあります。正直、鋭いテンポのベルグルンドを聴いても、実は帰っても感動しなかったのです。むしろもう少しテンポ的には遅いのですが、いい感じでテンポを揺らして、感情の起伏を表わしているアシュケナージのほうが泣けました。今回の演奏会は、そのアシュケナージ風であるが、しかしテンポはアシュケナージよりはベルグルンドに近いと言う、まことにいいコト取りのような感じで、それはとても難しいはずなんです。しかし、オケは涼しい顔して、いや、もう演奏できるのが嬉しくて体揺らしてノリノリ!なんですよ。

それで、セミプロと言ってもいいだけの演奏を叩きだしたんです。そのうまさや、団員の皆さんの共感が、私の体を包み込んで、もう泣かずにはいられませんでした。シベリウス交響曲で、感動で泣いたのは恐らく初めてだと思います。感動したのは何度もありますし、特にハルオケさんの3番は素晴らしい演奏でしたが、このシベ2で泣いたのは、小平市民オケさんのが始めてでした。

交響曲第2番 (シベリウス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9)

はっきり言って、今回のシベ2は、名演だと思います。アマチュアオケで、泣かせる演奏はそう言っていいと思います。テンポ感もいいですし、またオケも音の一つ一つが明確なのもいい!いやあ、録音すべきだったと思います、今回の演奏会は。是非、ダスビのように演奏会を「メディアに記録して取っておく」ということも、検討してみてください。それが小平や、或は隣の西東京、小金井、府中の各市立図書館に、開架のライブラリとして、例えば神奈川県立図書館にある港北区交響楽団の演奏会記録のように、広く聴かれるようになれば、団の宣伝になるだけではなく、自分たちの演奏が他の仲間の貢献になるということになります。是非とも検討していただければと思います。

神奈川県立図書館所蔵CD:港北区交響楽団第32回定期演奏会1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1537

神奈川県立図書館所蔵CD:港北区交響楽団第32回定期演奏会2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1538

その点では、神奈川県民の方々、特に県立図書館がある横浜市民の皆さんにお願いしたいのは、各区にある市立図書館だけではなく、県立図書館も活用してください。いいライブラリがあるんです。市民オケの皆さんには是非とも活用してほしいと思います。東京はたんにいろんな店が集積しているから、オケがうまいのだとは思いません。図書館が知恵を絞って、相互に貸し出すなど、工夫もしているからこそ、すそ野が自然と広いんだと思います。県立図書館のライブラリは、東京で言えば小金井と府中を合わせたくらいの、素晴らしいライブラリです。是非とも自分たちの演奏を向上させるためにも、活用してみてください。

今回の小平市民オケさんのまた素晴らしい点は、上記エントリの、港北区交響楽団さんのように、感情に負けて残念なものになる寸前を踏みとどまり、感情をうまく表現に変えて、「情熱と冷静の間」のバランスが絶妙で、最後まで崩れなかったことなんです。これ、とても重要で、私が泣いた理由の一つでもありました。これができるオケは、市民オケをほんとうに超えています。指揮者の西村さんが「もっとうまいオケになります!」と言っておられましたが、あのー、もう宮前フィルすら、多分超えるくらいうまいんですが。勿論、もっとうまくなったらと思うと、ゾクゾクワクワクします。次回の第九は、市民ではないですが、是非とも聴きに行きたい!と思います。




聴いて来たコンサート
小平市民オーケストラ 第33回定期演奏会
オール・シベリウス・プログラム
ジャン・シベリウス作曲
交響詩フィンランディア」序曲
「カレリア」序曲作品10・組曲作品11
交響曲第2番ニ長調作品41
西村友指揮
小平市民オーケストラ

平成30年6月10日、東京小平、ルネこだいら小平市民会館)大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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