かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:プロコフィエフ 交響曲全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、プロコフィエフ交響曲全集を取り上げていますが、今回は第3週を取り上げます。

この第3集には第4番と第5番が収録されていますが、第1回目の第1集でも第4番が登場しています。それはソ連帰国後の作品112でしたが、この第3集に収録されているのはオリジナルの作品47です。

交響曲第4番 (プロコフィエフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95)

私としては、このオリジナルのほうが洗練されていて好きです。やはり、作品112はソ連共産党ににらまれないようにと、社会主義リアリズムにそった改訂が行われているように思われます。それはそれでもいいのですが、20世紀音楽としてより洗練されているのは、やはり初版の作品47の方だと思います。

より旋律的ではなく、不協和音を多用しており、かつそれが全くおどろおどろしくなく、洒脱なのです。

幾つかの作品には改訂版があり、その都度作品番号が振られていますが、そこに、私はプロコフィエフの想いを感じるのです・・・・・いや、オリジナルだっていいのだけれど、社会主義ソ連では、これはそのままでは通用しないも知れない、と・・・・・

プロコフィエフソ連時代の作曲家たちを否定していたわけではないと思います。実際、帰国した時にはミャスコフスキーや、有名なところではショスタコーヴィチが活躍していた時代です。評価していないと言うわけではなかったと思います。ただ、外国に出てみたおかげで知った芸術もあったわけです。

両方を肌で知っている稀有な存在・・・・・だからこそ期待もされるわけですが、その狭間で悩む姿が、このオリジナルを聴いた後で作品112を聴きかえすと、伝わってくるのです。

収録時間の関係だったのかもしれませんが、編集者や、或は指揮者ゲルギエフが改訂版を最初に持ってきたのは、その改訂版の問題点を際だたせるためだったのかもしれません。

次に第5番ですが、第4番からは14年後の1944年に作曲されました。第二次大戦中の割には活き活きとして、明るさもある作品ですが、最後の第4楽章は激しく、ここに戦争の影響を見て取ることも可能かもしれません。

交響曲第5番 (プロコフィエフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95)

ここまで聴きますと、第5番まではそれほど社会主義リアリズムを感じないのです。わかりやすさよりは洒脱さを追求しているような気がします。勿論、第5番はやはり戦争の影響からは逃れられない作品だと言えますが、それでも、何か勇気づけるというよりは、安心を与える作品のような気がします。

それはゲルギエフが意識したものだったのかもしれません。オケに滔々と音楽を鳴らさせているのが印象的で、第4番のような活発さが必ずしもはっきりしているわけではありません。それでも、作品が持つ特別さが、その滔々とした演奏から滲み出てくるのですから、不思議です。

一方、ロンドン響の洗練された演奏が際だつのは第4番です。きびきびとしていて活発なこの作品にも、第2楽章のようにのんびりした部分もありますが、20世紀音楽らしい不協和音の連続する部分の、速いパッセージなどは、私たちに作品そのものの洗練された魅力を伝えてくれますが、それはまたロンドン響ならではとも言えるでしょう。そもそも、オケが洗練されているため、作品そのものの洒脱さが際立つのだと思います。

ロシア・ソ連の作曲家と言えばどうしてもショスタコーヴィチが代表格のように扱われてしまうのですが、プロコフィエフも充分魅力的な作品を残していることを、この第3集ですでに決定づけているようにすら思われるのです。




聴いている音源
セルゲイ・プロコフィエフ作曲
交響曲第4番ハ長調作品47(1930年オリジナル版)
交響曲第5番変ロ長調作品100
ヴァレリーゲルギエフ指揮
ロンドン交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村