かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:プロコフィエフ 交響曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、プロコフィエフ交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第2回目です。第2集、第2番と第3番を取り上げます。

この全集、実は番号順なのですが、第1集で第4番の改訂版がいきなり出て来るので、まごつくのですね・・・・・でも、この第2集ですっきりします。

第2番は1925年に作曲されました。かなり前衛的というか、意欲的な作品ですが、当時は聴衆に冷淡に扱われた作品です。まあ、フランス六人組真っ盛りですからねえ・・・・・仕方ないとも言えます。

交響曲第2番 (プロコフィエフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95)

むしろ、私などはとてもロシア的というか、ソ連的とも言える作品で、ショスタコーヴィチのような雰囲気すら持っているように思うのです。そのせいなのかもしれませんね、当時冷淡に扱われたのは・・・・・

それでも、プーランクは熱烈な拍手を送ったと言いますから、プロコフィエフの才能は決して否定されたわけではなかったと言えるでしょう。

第3番はその3年後、1928年に作曲されましたが、今度はこちらは大成功なんですから、不思議です。でも、この第3番も多分にショスタコーヴィチを彷彿とさせるような音楽が満載で、かつ自身の作品からの引用もあると言う、まさにショスタコーヴィチをどうしても想起せざるを得ない音楽が存在します。

交響曲第3番 (プロコフィエフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95)

この二つの作品に共通するのは、実は様式的には前時代からの伝統を受け継いでいると言う点です。第2番は2楽章形式になってはいますが、その第2楽章は変奏曲となっており、まるで第九のようです。変奏曲そのものは古典派から受け継がれているものですし、特にブラームス復権したものでもあります。第3番は引用が多いのですが、これはバロックを20世紀によみがえらせたとも言えます(そしてこれこそ、ショスタコ―ヴィチも採用した様式でした)。

となれば、やはりこの二つの作品はさすがパリにいた時代の作品だと言えます。フランス六人組(つまり、新古典主義音楽)の影響を強く受けた作品だと言えます。そうなると、ショスタコーヴィチの「引用」はまさに、プロコフィエフを意識もしていると言えるでしょう。プロコフィエフ交響曲を聴くと言うのはまさに、ロシアからソ連にかけての音楽を理解するために重要な位置を占めると言えます。

ゲルギエフは、オケに特段の奇異なことをさせていません。普通に鳴らしているだけなのに、音楽はまるで吠えるライオンのようでもありますし、また嵐のようでもあります。それは作品が持つ特色でしょうが、素直に出ているように思います。さすがロンドン響だと言えるでしょう。プロコフィエフ交響曲は決して知られていないわけではないんですが、ショスタコーヴィチに比べますとやや影が薄い印象もあります。しかし演奏はしっかりと、その存在感を表現しています。

特に第2番はリズムカルな部分がありますが、そこがコミカルでかつ美しいのです。壮麗さすらあるということを演奏が物語ると言う、まことに明快なものになっています。

こういった壮快な、すっきりした演奏はいいですね。プロコフィエフという人が本当に才能があって、エレガンスである一方、野蛮さも持ち合わせると言う、魅力的な音楽を書く人であるという事が、交響曲の分野でも証明された演奏であるでしょう。




聴いている音源
セルゲイ・プロコフィエフ作曲
交響曲第2番ニ短調作品40
交響曲第3番ハ短調作品44
ヴァレリーゲルギエフ指揮
ロンドン交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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