かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト ピアノ小品全集7

神奈川県立図書館所蔵CD、モーツァルト全集からピアノ小品を取り上げていますが、今回はその第7回目です。ピアノ・ソナタ後半です。

ピアノソナタと言っても、第6回目と今回の第7回目で取り上げるのは、連弾あるいは2台のピアノで演奏するものです。この第7回で取り上げる作品は、基本的に連弾用です。

え、連弾って、二人で演奏することではないの?という、ア・ナ・タ。まあ、間違ってはいないんですが・・・・・

連弾とは、一つのピアノを二人以上で演奏することを言うのです。

連弾
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E5%BC%BE

ですから、この第7回目でご紹介している作品は、ピアノ一台のものなのです。一方、第6回でご紹介した作品の中には、2台の物もあります。それは最後の曲目リストに掲示してありますので、ご興味があれば参照してみてくださいませ。

さて、この第7回でご紹介している連弾用のピアノソナタは、モーツァルトがウィーンへ出てからの作品です。そして2台であろうが、この連弾用であろうが、モーツァルトは基本的にセコンドを弾いたとされています。

つまり、これらの作品は全て、モーツァルトが依頼を受け、だれかと一緒に演奏することになり、そのための委嘱作品であるということなのです。しかも、ファーストはその依頼主あるいはその関係者(大抵は娘)であることが多いのです。

その割には、この第7回でご紹介する作品は、レヴェルが高くなっているものもあります。特に最後のK.521はモーツァルト自身が手紙の中で難しいので練習を早く始めてくださいとのコメントをしているくらいです。

完成した順番に曲は並んでいますが、すべて1786年から87年に書かれたものであるにもかかわらず、曲のレヴェルがどんどん高くなっていく様子が見て取れ、聴いているだけではピアノ協奏曲を編曲したものだろうかと思うくらいです。

実際、これらの作品を書いた時期のモーツァルトの創作は充実しており、フィガロの結婚(これは第6回でご紹介したK.381に似た旋律が出てきています。とてもモーツァルトらしい!)やピアノ協奏曲第23番〜第25番までを書いている時期です。充実しているだけでなく、忙しすぎてピアノ協奏曲のカデンツァがかけていないくらい(つまり、演奏会当日に即興でやってしまう。それはそれで協奏曲らしいのですが)です。

そういった時期に、モーツァルトは連弾曲という、ある意味サロンで演奏される作品を書いているということになります。しかもその内容は、確実にピアノ協奏曲などからフィードバックされているように見えます。

連弾ですから、実はシンフォニックな面では2台に劣る部分も出て来やすいのですが、それをピアノ協奏曲風にオケと会話するかのようにまとめ上げる点は、さすがモーツァルトだと思います。聴き始めはあれ?簡単そうだなと思いつつ、聴くにつれダイナミックでかつシンフォニックな内容に、舌を巻きます。

この演奏でもリタルダンドが少なく、とても古典美がしっかりと現出されており、均整のとれたものとなっています。それゆえに、平明さや爽快さというものが前面に押し出されています。これはモーツァルトの時代への理解と、その時代の作品に対する研究心がなければ実現できないことであろうと思います。

そんなの当たり前だと言われるかもしれません。しかし果たしてそうでしょうか。リタルダンドして、まるでロマン派のような演奏は枚挙にいとまない中で、自分たちの信じたスタイルを崩さず演奏しているのは素晴らしいことではないでしょうか。

モーツァルトという人は、ギャラントな音楽から抜け切れなかった人ですが、その最晩年では必死に抜け出そうと音楽をつむぎだした人です。その背景を理解したうえで、リタルダンドを如何かけるかということを考え抜いたこの演奏は、私は共感しますし、勿論高評価です。




聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ソナタ ヘ長調K.497(4手)
アレグロ ト長調/変奏曲とコーダ K.357(497a+500a)(4手)
アンダンテと変奏曲 ト長調K.501(4手)
ソナタ ハ長調K521(4手)
イングリット・ヘブラー(ピアノ)
ルートヴィヒ・ホフマン(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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