かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン合唱曲集3

神奈川県立図書館ライブラリのコーナー、メンデルスゾーンの合唱曲集を取り上げていますが、今回は第3回目になります。このシリーズ、すこし長いのでご容赦くださいませ。

さて、今回もコラールカンタータが収められています。コラールに親しまれている方には知っているコラールがどんどん出てきていて、特段珍しいことではないでしょうが・・・・・

しかし、その「知っている」ものがどんどん出てきているという点こそ、重要なのです。時代はロマン派だから、そんなバロックめいたことをする必要はないのではないかというのが、オーケストラを主に聴かれている方にとっての視座だからです。

確かに、管弦楽曲、特に交響曲だけに音楽史を絞ればその視座も当然だと思います。しかしながら、クラシック音楽管弦楽よりは声楽、特に宗教曲がまず先にあって、その発展の歴史でもあります。その視座からすれば、このコラールカンタータは特徴ある作品群が並んでいます。

レチタティーヴォがほとんどなく、せいぜいアリオーソ。これこそ、ベートーヴェンが「オリーヴ山上のキリスト」でやりたかったことであり、それを小さい作品で、なおかつ管弦楽を伴奏に実現しているメンデルスゾーンの、その才能を改めて認識する作品が並んでいると言えます。

バロックの形式のカンタータを、音楽様式はロマン派でやる・・・・・これは一見保守的に見えますが(確かにメンデルスゾーンは保守なので当たってはいますが)、実に革新的なことをやっているなと思います。ようするに、これはいずれ後期ロマン派のオペラや、20世紀のミュージカルへも影響を与える様式だからです。

第九ですらまだレチタティーヴォなのに、この作品群ではそれを超えている・・・・・そう考えると、うならざるを得ません。

特に第3曲目「高き天より」の冒頭合唱は美しくかつ力強い合唱が、神々しく曲を彩ります。また次の曲「ただ愛する神の摂理にまかす者」ではカノンが採用され、それがロマン派の音楽で表現されているのは、新鮮です。

バッハの音楽はどうも重くって・・・・・という方は、こういったメンデルスゾーンの作品群に触れてみてはいかがでしょうか。バッハの音楽は本来舞曲が多用されていることから決して重々しくはないですが、バッハが生真面目に制作したという背景から、音楽自体が私たち聴衆の心に突き刺さるものを持っていることは確かだろうと思います。その点では、たとえばBCJの軽めの演奏でも、聴き手によっては重々しく聴こえることだってあるだろうと思います。

そういった方にこそお勧めなのが、このメンデルスゾーンの作品群です。バッハと同じことをやっていながら、実に音楽的には親しみやすい点を持っているのが特徴です。

演奏しているロイトリンゲン・ブリュッテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団やヨーロッパ室内合唱団も決して重々しく演奏しているわけではなく、軽めというか、淡々としたものになっています。つまりは端正。でも、曲が持つ力強さだったり、美しさだったりがきちんと表現されているものになっています。特にすばらしいのが、合唱団の音の上がり下がりで、いわゆる「H」が入らずにスムーズに歌えているのはプロとしては当然ではありますが、さすがだと思います。これは実に難しいですから・・・・・

もし注文を付けるとするならば、ソプラノが多少下から当たり気味かな、という点です。それ以外は文句のつけようがないと思います。オケに何か問題が散見されるわけでもないですし。それよりも、室内合唱団にオケが実によくあっているのが印象的です。編成を小さくしているかもしれませんが、それがやれるだけでも素晴らしいと思います。作品のバランスをきちんと理解し、演奏することはその作品を表現し、聴き手につたえることに於いてとても重要だからです。

兎に角、癒されてくださいませ・・・・・



聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
8つのコラール・カンタータ
4.「血潮したたる主のみかしら"O Haupt voll Blut und Wunden"」
5.「われらに平安を与えたまえ"Verleih uns Frieden"」
6.「高き天より"Vom Himmel hoch"」
7.「ただ愛する神の摂理にまかす者"Wer nur den lieben Gott laesst walten"」
8.「我らみな唯一なる神を信ず"Wir glauben all an einen Gott"」
主なる神よ、われら汝をたたえん"Herr Gott,dich loben wir"
ぺトラ・ラビツキ(ソプラノ)
リディア・アッレルト(ソプラノ)
アンネマリー・クレマー(ソプラノ)
ガブリエレ・ヴンデラー(アルト)
ダニエル・サンズ(テノール
マンフレッド・ビットナー(バス)
ライムンド・スポーギス(バリトン
ヨーロッパ室内合唱団
ニコル・マット指揮
ロイトリンゲン・ブリュッテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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