かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン 合唱曲集9

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでメンデルスゾーンの宗教合唱曲を取り上げていますが、今回はその第9回目です。

第9集を取り上げることになりますが、新しい様式と古い様式が混在しています。しかしそこに、メンデルスゾーンが目指した音楽がはっきりと存在しています。

例えば、コラール・ハルモニージンゲンなどは、前期ロマン派の様式にもとづいていますが、次のキリエは一転、古いモーツァルト以前、バロック様式と見まごうような様式で書かれています。

最期の13の詩篇モテットなどは、カノンを多用し、古風な音楽となっています。ただ、いずれも音楽的には基本的に前期ロマン派の範疇から外れることはありません。

バッハのカンタータなどに触れ、メンデルスゾーンが衝撃を受けて、「新しい音楽の創造」を決心したのですが、その結果がこれらの作品であり、素朴ですが美しく、流麗な音楽が出来上がっています。

合唱団はとにかくこれらを淡々と演奏していきます。ですから、ドラマティックな面はほとんどありません。しかしだからこそ、じんとくるものは確かにあって、じわりじわりと感動と喜びが心の中に湧き上ってきます。

メンデルスゾーンが目指した合唱曲、あるいはそもそも器楽曲も含めて彼の音楽とは、温故知新であると私は考えます。古いものを捨て去るのでもなく、かといって古いものにこだわるのでもない。今あるものを新しくリビルドしていく。まるでそんな音楽です。たったそれだけで、音楽はブラッシュアップされ、以前にはない音楽がそこに存在しています。

しっかりしたアンサンブルでそれを表現する合唱団は秀逸です。少しだけソプラノがぶら下がり気味なのが気になるのではあるんですが、それ以外ではまったく問題ない演奏を聴かせてくれます。」

今回の第9集には、ドイツ音楽としては面白い作品が含まれていて、それが「2つの英語詩篇」です。メンデルスゾーンは幾つか英語の歌詞を持つ合唱曲を書いており、かつて私もPMS合唱団のコンサート評で取り上げたことがあります。

コンサート雑感:PMS合唱団第27回公演を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/763

ヨーロッパ室内合唱団、英語の発音が上手なんですよね〜。え、そりゃあ日本人よりは上手でしょ?って?まあ、そうなんですが・・・・・

ドイツ語は、最後の子音をはっきりと発音するために、結構「立てる」んですよね。しかし英語ではあまり立てません。そこをしっかりと使い分けているのがさすがなんです。

元々、ドイツ語圏の合唱団であるヨーロッパ室内合唱団が、英語とドイツ語の発音を使い分けているのは素晴らしいと思います。勿論なんですが、それでも子音は立てており、しっかりと歌詞が聞き取れるように歌っていますが、ドイツ語と英語に差をつけているのがさすがなんです。これぞプロです。

なかなか合唱団の演奏評でここまで言及する方もいらっしゃらない(というより、なかなか評論する人がいらっしゃらない)ので、私がはっきりと申しておきますが、合唱団の演奏を評価するポイントは、アンサンブル、発声、そして発音です。強弱の表現力はその次でしょうか。勿論、プロなら表現力も同列になりますが・・・・・

ヨーロッパ室内合唱団は、その点では比較的及第点を挙げられる、秀逸な合唱団であるとはっきり言えるでしょう。それはもとより、合唱団員と合唱指揮者の質の高さを物語るのです。



聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
コラール・ハルモニジールンゲン(4声の混声合唱のための)
1.高き天より
2.ドイツ・グローリア
3.暁の明星は美しく輝き
キリエ ハ長調(1823)(ソリストと2つの4声混声合唱のための)
キリエ・エレイソン
クリステ・エレイソン
キリエ・エレイソン
ユーベ・ドミネ(1822)(ソリストと2つの4声混声合唱のための)
フランクフルトのワロン人教会のための聖歌(カンティク)S98(4声の混声合唱のための)
2つの英語詩篇(テイト)(4声の混声合唱のための)
7つの詩篇(4声の混声合唱のための)
13の詩篇モテット(2つの4声混声合唱のための)
ニコル・マット指揮
ヨーロッパ室内合唱団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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