かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク 「幽霊の花嫁」

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はドヴォルザーク全集の中からカンタータを取り上げます。「幽霊の花嫁」というカンタータです。

ドヴォルザークカンタータを作曲していたのか、と驚かれる方も中にはいらっしゃると思います。実際、ドヴォルザークが素晴らしい合唱作品を作曲していることはあまり知られていないのが実情で、以下のHPの方とその認識を一にします。こういう方がこの広い世界にいらっしゃることに、感謝したいと思います。

今月のコンサート・2,3月
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/3444/concertofmonth.html

できれば、歌詞などをご紹介することができたらと思うのですが・・・・・曲の内容は上記のサイト、もしくはウィキを参照してください。それでも、かなり簡単な説明しかないんですが・・・・・

カンタータ「幽霊の花嫁」 (Svatební košile) 作品69、B.135
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF#.E6.95.99.E4.BC.9A.E9.9F.B3.E6.A5.BD.E3.80.81.E3.82.AB.E3.83.B3.E3.82.BF.E3.83.BC.E3.82.BF.E3.80.81.E3.82.AA.E3.83.A9.E3.83.88.E3.83.AA.E3.82.AA

実を言えば、私もドヴォルザークが素晴らしい合唱作品を多く書いていることは、合唱団時代の友人から教えてもらったことです。コア・アプラウスはドヴォルザークの宗教曲のうち、スターバト・マーテルとレイクエムを取り上げており、それがこの作品を借りる直接のきっかけになっています。

音楽雑記帳:コア・アプラウスの2010年コンサートを聴いての雑感
http://yaplog.jp/yk6974/archive/483

コンサート雑感:コア・アプラウスの「ドヴォルザーク スターバト・マーテル」を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/853

それに伴って、すでに県立図書館で借りてきたドヴォルザークのレクイエムをエントリで上げています。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク レクイエム
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1057

ドヴォルザークはシンフォニストとしての側面が日本では強い作曲家ですが、室内楽も数多く作曲しており、実は国民楽派における素晴らしいアーティストと言っていいでしょう。古典派でいえば、ベートーヴェン、あるいはモーツァルトと比肩しても遜色ないくらいの作曲家なのです。

まず、このカンタータはまさしく、メンデルスゾーンベートーヴェンが「オリーヴ山上のキリスト」でできなかったことをやってのけた、「エリア」からの系譜を受け継ぐ作品である、ということです。語り部バリトンが指定されていますが、これはまさしく、バッハ以来、キリストをバリトンに歌わせる伝統に基づいていますが、音楽は国民楽派です。歌詞はチェコ語ですし、音楽もそこかしこにどこか西欧とは異なる音が紛れ込んでいます。

ですから、この作品はメンデルスゾーンの「エリア」からの系譜を受け継ぐ作品、とはっきりと言えるわけなのです。その上で、実はとても宗教的というか、人間の内面に切り込む作品です。

幽霊の花嫁という題名から、皆さんは何を想像されるでしょうか?すでに前掲したURLで、あらすじはわかっていらっしゃる方も多いと思います。では、この作品で言いたいことはいったい何なのでしょうか?

勿論、私も歌詞を知りませんから、あらすじから推測するのですが、この作品、幽霊はヒロインの死んだ彼である、という点が重要である、と考えます。

人は、恋しい人が死んだとしても、現実を生きなければなりません。ところが、ヒロインはその現実を受け入れることができないわけです。その幽霊を現実と間違えて、結婚しそうになるわけですが、そこをマリア様など、本人以外の力によって現実に引き戻してもらえる、というものです。

私達は現実をみよ、と言われてもそう簡単にはファンタジーの世界から抜け出すことはできません。ファンタジーの世界も、現実世界を生きるには必要でもあるからです。しかし、そればかりに浸っていては現実とのかい離は激しくなります。それを見事なストーリーで私たちに提示してみせたのがこの作品である、と言えるでしょう。

だからこそ、この作品はカンタータなのだと思います。もし、単なる物語であれば、カンタータという名称にしないはずで、劇音楽、もしくは音楽物語などにするはずです。あるいはオペラにしてしまうか(実際、ドヴォルザークは「ルサルカ」を作曲しています)、です。しかし、そうではなくカンタータであるということは、この作品に教訓めいたものを込めている、と言えるかと思います。

恐らくですが、私はドヴォルザークメンデルスゾーンの「エリア」だったり、あるいはバッハの受難曲あるいはカンタータを念頭にこの作品を作曲したと思っています。さらに、オペラ作曲家として、エリアよりもさらに劇的に仕上げたのがこの作品である、と言えるでしょう。「劇的」とついていますが、それでもカンタータであるのは、ドラマの中に、聴き手の人生に幸あってほしい、という願望があってのことだと思います。

しかし、それを前面に出してしまうと、たいていのものは失敗します。誰だって、人の指示を受けるのは嫌ですから。それを物語の中で経験すると、人はそれを糧にして生きようと思います。この作品はまさにその後者を狙って作曲されていると考えていいでしょう。

それだけに、歌詞がないかなあとネットで検索したのですが、どうやらないようです・・・・・・

もう一度、解説だけでも借りて来る方がよさそうです。どうやら、この作品の「本質」に辿りつける時期が、私に巡って来たようですから。



聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
劇的カンタータ「幽霊の花嫁」作品69 B135
ガブリエラ・ペニチャコヴァ―(ソプラノ)
ドラホミラ・ティカロヴァ―(ソプラノ)
オルトレン・ヴェンケル(アルト)
ベノ・ブラフト(テノール
ぺテル・ドヴォルスキー(テノール
ラディスラフ・ムラーズ(バス)
ヤン・ヘンドリク・ローテリング(バス)
チェコフィルハーモニー合唱団(合唱指揮:ヨゼフ・ヴェセルカ)
ヤロスラフ・クロンブホルツ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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